沸騰水型軽水炉における出力向上に伴う主蒸気流量増加による音響共鳴を起因事象とする機器損傷事故を再発させないためには、その原因であるキャビティートーンの詳細予測が必要である。このため、本研究においては、キャビティートーンの発生メカニズムを評価するとともに、発生下限条件を、実験的に評価を行うことを目的として研究を進めている。 主蒸気管におけるキャビティートーンの発生メカニズムを評価するため、複数管を模擬した、試験装置を作成し、実験的にキャビティートーンを発生させることができた。音響発生には流速が重要であり、実機模擬の観点から流速を実流速とするため、バッファタンクから数秒間のみ実流速条件を作り出した。具体的には、0.5MPaに加圧した高圧タンクから、電磁弁を用いて一気に圧縮空気を試験装置に送ることにより、音響共鳴が発生することをマイクロフォーン等によって確認するとともに、流体の温度や圧力を計測した。また、圧縮空気にトレーサを混入することで、流れ場を可視化することができた。また、高速度レーザーと高速度カメラを組み合わせた超高速度PIVを構築し、圧縮空気流れの流速分布を評価する事ができた。圧力によって、トレーサ粒子の輝度が変化するため、その対策を考慮するとともに、より高圧条件での速度分布計測を試みる予定である。
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