研究課題/領域番号 |
22360401
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
義家 敏正 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (20124844)
|
研究分担者 |
小松 正雄 広島工業大学, 工学部, 教授 (80309616)
徐 ぎゅう 京都大学, 原子炉実験所, 准教授 (90273531)
佐藤 紘一 京都大学, 原子炉実験所, 助教 (30378971)
|
キーワード | オーステナイト系ステンレス鋼 / ボイド成長 / 照射損傷 / 点欠陥 / 点欠陥集合体 / 中性子照射 / 電子照射 / 原子空孔 |
研究概要 |
(1) 試料調製:種々の照射実験を行うために、実用合金としてオーステナイト系ステンレス鋼、SUS316、SUS316L、Ti添加316、SUS304、SUS304Lを購入、これらと比較検討するためのモデル金属として純Ni、Fe-Cr-Ni、Fe-Cr-Ni-Mo-Mn、Fe-Cr-Ni-Mo-Mn-Si, Fe-Cr-Ni-Mo-Mn-Si-Tiをアーク炉で作製した。 (2) 電子照射:原子炉実験所に設置されている電子線型加速器を用いて30MeVの電子照射を、室温と573K、照射量は0.015dpaまで行った。 (3) 陽電子消滅分光法:陽電子消滅分光法を用いて材料中の欠陥の同定と量の測定を行った。室温で照射した試料では実用合金、モデル合金に殆ど差がなく、単原子空孔か複空孔が存在した。一方573Kで照射したものはモデル合金では3~5個の原子空孔からなるマイクロボイドが検出されたが、実用合金では欠陥の存在が検出されなかった。室温で電子照射したSUS316の1時間の等時焼鈍後の陽電子消滅寿命の測定を行い、照射欠陥の消滅過程を調べた。その結果423Kから573Kで欠陥は消滅することが判明した。今回備品として購入したGe半導体検出器を用いた同時計数ドップラ広がり(CDB)測定の結果では、析出物の存在は確認できなかった。 (3) 電気抵抗測定:室温電子照射したSUS316の等時焼鈍後の電気抵抗の測定を行った。陽電子消滅寿命とはかなり異なり、323Kから823Kと幅広い温度で回復が見られた。これは欠陥の回復と析出が同時に起きているためで、原子空孔やその集合体の挙動は陽電子消滅寿命測定がより正確であると考えられる。 (4) 透過電子顕微鏡観察:照射損傷組織を調べるために、透過電子顕微鏡観察を行った。室温及び573K照射した試料では実用合金、モデル合金も明白な欠陥は観察されなかった。
|