研究課題
まず、運転再開後の京都大学研究炉(KUR)重水中性子照射設備の照射特性評価を行い、本研究に必要な基礎データの取得を行った。次に、アルゴンを用いて、放射化の量すなわち線量計で得られる電流値とガスの流量および流速ならびに放射化ケース直径の関係について、KUR重水中性子照射設備においてサーベイ実験を行った。また、ケースを置く位置を変えることで中性子ビーム強度を調整し、検出限界等の確認も行った。例えば、直径10cmのケースの場合、KUR1MW運転時の混合中性子照射モードで2ml/minの流量で5pA程度の電流値が得られた。一方、熱外中性子照射モードでは、2ml/minの流量で1pA程度の電流値であった。また、ビーム強度の検出限界は熱中性子に対して1×10^5cm^<-2>s^<-1>程度、熱外中性子に対して1×10^6cm^<-2>s^<-1>程度であることが確認された。続いて、電離箱を通過した放射化ガスの、HPGe半導体検出器による誘導γ線スペクトル測定を行った。ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンそれぞれのガスに応じた放射性核種の生成がγ線ピークのエネルギーおよび半減期から確認された。特に、キセノンについては、中性子のエネルギーに応じて多数の核種の生成が確認され、流量を調整することによる中性子エネルギースペクトル評価が期待できることが分かった。これら平成22年度の研究成果から、「ビームプロファイルモニターシステム」の可能性が確認された。典型的なBNCT臨床時の照射時間30~90分を想定した、最大1分毎に計測できるシステムの構築の可能性が見いだされた。システムの評価精度を臨床時の照射野(コリメータ)端部において確認したところ、士10%程度の不確定さがあることが確認された。
すべて 2010
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)
Proceedings of the 14th International Congress on Neutron Capture Therapy
ページ: 254-256