研究課題/領域番号 |
22360405
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
村田 勲 大阪大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (30273600)
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研究分担者 |
宮丸 広幸 大阪府立大学, 産官学連携機構, 准教授 (80243187)
加藤 逸郎 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (60314390)
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キーワード | ホウ素中性子補足療法 / BNCT / CdTe検出器 / 478keV / ガンマ線 |
研究概要 |
平成22年度の理論的検討及びCdTe結晶の試験的製作及びテスト計測の結果、1.5x2x30mmの大きさの結晶により、mmオーダーの空間分解能を実現しながら、30分間の計測で1000カウント以上の計数値を得る見込みを得ることができた。そこで、平成23年度は、実際にCdTeの結晶を作製し、絶対効率測定を行った。その結果、当初の予想通りの計数を見込めることが確認できた。また、最も問題となっていた、478keVに隣接する511keVの消滅ガンマ線との分離についても、実際に水ファントムを用いたスペクトル測定を実施し、478keVのドップラー広がりを考慮しても分離計測が可能であることを確認した。更に、SPECT用コリメータについて、2mmφの大きさのタングステンコリメータを用いることにより、上記の性能を維持しながら検出器の健全性を維持できることを計算により確認した。 一方、実際のBNCT-SPECT装置の測定精度については、BNCT現場を模擬した3次元モデルを作成し、3次元モンテカルロコードMCNPによる模擬計算を実施した。その結果、CdTe検出器及びコリメータを設置した状態で、実際の腫瘍から放出される478keVガンマ線が、30分で1000カウント以上計測できることを確認した。また、その場合に、S/N比が1を超えることを確かめることができた。 なお、一連の測定を行うため、AmBe中性子線源を用いた熱/熱外中性子場の設計及び製作を行った。この設計段階の計算及び照射実験から、加速器BNCTにおける遮へいのポイントを明らかにすることができた。これは、予想外の成果である。 以上の結果、1素子によるSPECTの実現可能性が示されたので、平成24年度は、CdTe素子を16個(4×4)並べたアレー型検出器の設計・製作を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の前半最大の検討課題であるCdTeの結晶の寸法を、約1年遅れで決定できたため、(3)の評価としている。これは、理論的な検討は、予定通り進んだが、CdTeの結晶の製作に予想以上に時間がかかったためである。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画では、昨年度からアレー型検出器の設計及び製作をスタートする予定であったが、11.に記載した理由のため、約1年の遅れが出ている。このことから、今年度はアレー型検出器の製作開始を最大の目標とする。なお、理論検討の部分には余裕があるが、画像の再構成については、これまでの予備検討の結果、予想外に困難があることも判明してきたため、その対策検討を今年度当初よりスタートする。
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