研究課題
重粒子線ガン治療では、中性子による二次被ばく線量の予測が喫緊の課題であり、シミュレーションコードの開発が必要となっている。しかし、計算に必要な生体構成元素に対する中性子およびγ線の生成断面積データはほとんど無い。本研究では広いダイナミックレンジを有する低温動作型中性子検出器とデジタル波形解析システムを開発し、生物学的効果が大きな1MeV領域を含む0.1MeV~500MeV程度までの二重微分断面積を決定する。中性子とγ線データとを同時に決定して、医療用核データとして整備すると共に、核反応理論計算を改良してその予測精度を向上させることを目的としている。平成22年度は低温動作型検出器の開発を行い、放射線医学総合研究所HIMACにおいて実験を行った。また、中性子検出器の検出効率を測定した。開発した低温動作型シンチレータの検出システムについて中性子線源によるテストを行い、nγ弁別FOMが30%程度向上することを確認した。しかし、デジタル波形処理システムを使用したデータ収集により測定効率を向上させる必要があることが分かった。また、スイス・ポールシェラー研究所において、600MeV陽子サイクロトロンからの2次粒子を利用したシンチレーション検出器の検出効率測定を行った。さらに、放射線医学総合研究所HIMACにおいて新しい断面積データの測定を実施した。解析の際には、テスト実験の結果最も高いFOMを得たダブルゲート法を用いた。実験では、ビームとして290MeV/u炭素イオンと窒素イオンを使用し、ターゲットとして炭素を使用して中性子とγ線の二重微分断面積を測定した。
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Proceedings of the 24th Workshop on Radiation Detectors and Their Users, KEK
巻: 10 ページ: 46-51
バイオメディカル・ファジィ・システム学会第23回年次大会講演論文集
ページ: 221-224