研究課題
重粒子線ガン治療では、中性子による二次被ばく線量の予測が喫緊の課題であり、シミュレーションコードの精度向上が要求されている。しかし、計算に必要な生体構成元素に対する中性子およびγ線の生成断面積データはほとんど存在しない。本研究では広いダイナミックレンジを有する中性子・ガンマ線測定方法とデータ解析システムを開発し、生物学的効果が大きな1MeV領域を含む0.1 MeV~500 MeV程度までの二重微分断面積を決定する。中性子とγ線データとを同時に測定して、医療用核データとして整備すると共に、核反応理論計算の予測精度を検証することを目的としている。平成23年度までに、放射線医学総合研究所HIMACにおいてビームエネルギー290 MeV/uでの測定を完了した。その結果、TTY (thick target yield) および、γ線生成二重微分断面積を理論計算が十分に再現できない事から、低エネルギーデータとの比較が必要であると判断して、平成24年度はビームエネルギー100 MeV/uでの測定を行った。100 MeV/uのデータは、治療ビームが人体内で減速する過程を理解するためにも必要である。実験では、ビームとして100 MeV/u炭素イオンを使用した。また、ターゲットとしては炭素および、窒素、窒化アルミニウム、さらに生体ファントムとしての水を使用して中性子とγ線の二重微分断面積を測定した。窒素と窒化アルミニウムは、それらの差から窒素データを得るために用いた。現在までに、炭素データと窒素データの解析が終了し、学会等において発表を終えた。ビームエネルギーが290 MeV/uから100 MeV/uに低下した事に伴い、ターゲット厚を薄くしたため、中性子エネルギー3 MeV以下の領域で収量が不足し、データにばらつきが見られた。今後、この点を改善し、データ収集を継続する予定である。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Proceedings of the 2011 Symposium on Nuclear Data, JAEA-Conf
巻: 2012-001 ページ: 135-140
ICIC Express Letters
巻: 6 ページ: 1677-1682