研究課題
本年度の研究では、次の二つの大きな成果が得られた。(1)生鮮重量約10kgのシロイヌナズナから無傷葉緑体を単離し、そこからRNA編集活性をもつ葉緑体抽出液を調製した。次いで、この抽出液を、野生型及び種々の塩基置換を導入したpsbE遺伝子配列を持つRNA鎖によってアフィニティー精製し、最終的に、psbE RNA上の特異的なC塩基を180分間に0.5fmolほどUに変換できるRNA編集活性を濃縮・精製することに成功した。回収された精製画分に含まれるタンパク質成分をLC-MS/MS法によって分析したところ、RNA編集因子を構成するタンパク質成分の候補として、3~10種程度のタンパク質がリストアップされた。現在、これらの候補タンパク質について、生化学的手法と遺伝学的手法の双方から,RNA編集機能に対する関わりを調べている。(2)in vitro RNA編集系を用いた生化学的な解析から、葉緑体RNA編集因子の活性がRNaseに感受性であることが示された。この知見は、RNA編集因子が単純なタンパク質装置ではなく、RNA成分を含むRNA-タンパク質複合体(RNP complex)であることを示唆している。現在の所、RNase処理によって失活するのが「配列特異的な基質認識能」なのか、「C-to-U変換を司る触媒能」なのかは、まだ不明である。
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