研究課題
茎形成は発生プログラムと環境シグナルによる制御を受けながら、最終的には細胞壁の構築・再編過程を通して「伸長機能」と「支持機能」を最適化する形で進むことが経験的に知られている。しかし,その統御の分子機構は全く不明である。私たちは、これまでの研究で、細胞壁関連遺伝子ファミリーであるXTHやPMEの特定のメンバーが,茎の特定組織の伸長機能と支持機能にそれぞれ必須であるごとをシロイヌナズナとイネで実証してきた。本研究の目的は,この成果を足がかりとして,茎の各組織の伸長と支持に於いて中心的役割を担う細胞壁関連タンパク質群を網羅的に同定し、それらの機能を統御する共通の転写制御システムを解明することである。この目的のために、初年度は、(1)シロイヌナズナとイネに着目し、これまで解析を進めてきたXTHとPMEの伸長機能と支持機能に関する解析を進めると同時に、(2)両植物の茎や根の伸長機能と支持機能の調節に必須の新規な細胞壁関連遺伝子およびその制御因子の探索を、発生プログラムや荷重刺激に対する転写因子遺伝子発現ネットワークを用いて開始した。前者については、シロイヌチズナのPME61およびPME35のそれぞれの欠損変異体および二重変異体を用いて解析を進め、皮層および維管束細胞におけるペクチンのカルシウム架橋が、細胞の力学的強度の制御に重要な役割を担うことを明らかにした。また、イネにおいてXTHがキシログルカンを基質として、細胞伸長に関与することを示す証拠を得た。一方、後者については、シロイヌナズナの欠損変異体プールを用いて、力学的刺激に応答する細胞壁関連酵素およびその機能制御に関わる因子の遺伝子欠損変異体の探索を準めた。
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http://www.biology.tohoku.ac.jp/lab-www/nishitani_lab/