研究課題
1.葉と種子での脂質合成の振り分け機構に異常をもつ変異体の取得(1)葉の貯蔵脂質合成を抑制する因子の単離(研究支援者、下嶋)リン欠乏時に発現量が上昇する遺伝子のうち、脂質代謝経路に関わりがあると考えられる遺伝子の変異体をいくつか単離し、貯蔵脂質含量を調べた。その結果、そのうちCOX19-like proteinの変異体で貯蔵脂質の脂肪酸組成にやや影響が出ることがわかった。(2)種子の糖脂質合成を抑制する因子の単離(粟井、静岡大学生)MGD1遺伝子のプロモーター領域にレポータ遺伝子(GUSおよびRFP)を融合し、それらを導入した株を作出した結果、発現強度に機能していると思われる領域を特定した。また、チラコイド膜の発達しない組織(種子や根)で発現が見られないことから、これら形質転換体を変異原処理し、発現が変化する変異株のスクリーニングを開始した。2.PAH1,PAH2の登熟種子での局在および機能解析(下嶋、東工大修士学生A)登熟種子におけるPAHIおよびPAH2種子の発現箇所を調べるために、PAH1およびPAH2遺伝子のプロモーター領域にGUSを融合し、それらを導入した株を作成した。3.未解明の貯蔵脂質合成経路の全容解明(太田、東工大修士学生B、C、粟井)3重変異体pah1pah2tgd1の作成に成功した。また、3重変異体pah1pah2npc5については遺伝子座が近く単離できなかったため、pah1pah2バックグラウンドでNPC5の発現をRNAi法によりノックダウンする方法に変更し、引き続き単離を行う。
2: おおむね順調に進展している
変異体の取得と解析について、各項目ともに順調に進んでいる。しかし、唯一、pah1pah2npc5の3重変異体の取得については、方法を変えるという方向転換を行ったため、すこし遅れている。
平成24年度は、いずれの項目においても変異体および形質転換体の解析を進めることが重要であると考えている。特に研究計画の変更は、3重変異体pah1pah2npc5の作成法についてのみで、これについてはすでに対応済みであるので、引き続き進めて単離を急ぎたいと考えている。
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