研究課題
植物は何故、葉で葉緑体膜を発達させ、種子で貯蔵脂質を貯めることができるのか?チラコイド膜を構成するグリセロ糖脂質やグリセロリン脂質と、オイルボディに溜まる貯蔵脂質(トリアシルグリセロール)は、どちらもプラスチドで合成された脂肪酸がホスファチジン酸へと取り込まれた後、各経路に振り分けられて合成されるが、その経路転換の仕組みは明らかではない。本研究は、葉と貯蔵組織で全く異なる、脂質合成の振り分け制御機構を解明することにより、それぞれの器官の分化・発達機構を明らかにすることを大きな目的として研究を行った。1. 葉と種子での脂質合成の振り分け機構に異常をもつ変異体の取得(1)葉の貯蔵脂質合成を抑制する因子の単離(研究支援者、下嶋) 本年度はリン欠乏で誘導される2つの新規ホスファターゼの機能を詳しく調べ、これらがリン欠乏時に果たす役割を考察した。また、PAH1,PAH2が、デンプン合成の欠損時に見られるTAGの蓄積に重要な役割を持つことを明らかにした。(2)種子の糖脂質合成を抑制する因子の単離(粟井、静岡大学生) 種子のプラスチドではチラコイド膜は発達しないので、その発現を抑制するメカニズムが存在すると考えられる。昨年度までに、MGD1プロモーターにレポーター遺伝子を融合した配列を導入した株を作製した。本年度は、それらの株の種子に変異原処理したもののスクリーニングを行い、チラコイド膜の発達しない組織(根)でレポーター遺伝子の発現が見られる変異体をスクリーニングした結果,8ラインの変異株を単離することができた。これらの株は共通して葯の開裂異常を示した。このことから根で糖脂質合成の抑制に関わる遺伝子が存在し、その遺伝子は正常な花の形態形成に必要であることも明らかになった。本基盤研究終了後も引き続きこの遺伝子に関して解析を進める予定である。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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