研究課題/領域番号 |
22370019
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
田坂 昌生 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (90179680)
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研究分担者 |
打田 直行 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教 (40467692)
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キーワード | Rタンパク質 / UNI / レセプターキナーゼ / ERECTA / リガンド / EPFL |
研究概要 |
植物の地上部器官は全て、茎の上端に位置する茎頂分裂組織から生み出される。この茎頂分裂組織に対して茎頂分裂組織の外部から遠隔的に影響を与える作用の存在が示唆されつつあるものの、そこに関わる分子機構はほとんど解明されていない。これまでに研究代表者の主宰するグループでは、Rタンパク質であるUNIタンパク質が茎頂分裂組織の外部で活性化すると、茎頂分裂組織の活性が影響を受けることを示してきた。そこで、本研究においては、このUNIタンパク質が茎頂分裂組織に影響を与える際の分子メカニズムに対して新しい知見を得ることを目的とする。この研究を行うにあたっては、UNIタンパク質に加えて、このUNIタンパク質に由来するシグナルが働く経路で重要な役割を果たすことをこれまでに明らかにしてきたERECTA受容体キナーゼにも注目した。このERECTAにはファミリー遺伝子群が存在することが知られているが、本年度はまず、篩部のコンパニオン細胞で発現したERECTAが花茎の伸長制御に重要な働きをする事を明らかにし、このレセプターに結合するリガンドがEPFL4,EPFL6であり、これらは内皮細胞で発現する事を明らかにした。また、3種のERECTAファミリー遺伝子群が協調して家茎頂メリステムの形成・維持に関与し、その過程でサイトカイニンが重要な働きをする事も明らかにした。さらに、UNIタンパク質に由来するシグナル経路で働く新たな因子を得るために遺伝学的スクリーニングを行い新たな変異体を獲得し、この変異体の原因遺伝子の同定も試みた。これらの研究成果は、今年度に複数の論文として発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ERECTAが茎の伸長に関連するレセプターキナーゼである事は15年以上前に解っていたが、どのようにして伸長に関与するか全く不明であった。今回、リガンドが明らかになる事で、組織、細胞間のコミュニケーションが伸長に重要である事が明らかになった。これは予期した以上の成果と言え、当初の計画以上に研究が進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、ERECTAファミリーの茎頂分裂組織に対する影響や他の幹細胞に対する影響を調べる事で、植物の形態形成における細胞間コミュニケーションの分子機構を明らかにするとともに、レセプターとリガンドの組み合わせがモジュールとしていろいろな場面で使われる実態を明らかにしていく事で新しい研究の展開を行う。さらに、UNIのサプレーッサーをさらに単離する事で、幹細胞の分化、維持機構に対する新しい知見を蓄積していく。
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