研究課題
平成24年度前半では、これまでの葉緑体による植物免疫制御機構に関する研究成果をまとめ、葉緑体Ca2+シグナルと葉緑体Ca2+センサータンパク質CASを介して、葉緑体が逆行性一重項酸素シグナルを発信することで、サリチル酸合成遺伝子などの防御応答遺伝子発現が活性化される可能性を論文発表した(Nature Commun 2012)。さらに年度後半では、葉緑体による植物免疫制御の分子機構に関係する研究を展開した。(1)CAS依存遺伝子のマイクロアレイ解析結果を基に転写因子の働きを検証した。その結果、CASによって約3分の1のWRKY転写因子群の転写が活性化され、その下流で多くの防御応答遺伝子が制御されていることを見いだした。一方、CASは葉緑体分化を制御するシグマ因子やGRKなどの転写因子の発現に抑制的に働くことを見いだした。これらのことから、CAS(葉緑体)が、免疫応答時の防御関係遺伝子と葉緑体遺伝子のトレードオフに関係していることが示唆された。(2)CASが光化学系I周辺の循環的電子移動制御因子PGRL1と相互作用することを見いだした。この結果から、CASがCa2+依存的に循環的電子移動活性を制御することが一重項さんそなどの逆行性シグナル生成と関係している可能性が示された。(3)光と植物免疫応答との関係を詳細に検証し、サリチル酸合成に関わる遺伝子群の発現が光および光合成活性に強く依存していることを明らかにした。(4)サリチル酸合成の必須因子であるEDS5の細胞内局局在解析を行い、葉緑体包膜に存在することを明らかにした。従って、EDS5は葉緑体内で合成されたサリチル酸の排出に関わるトランスポーターである可能性が考えられた。さらにEDS5が表皮細胞特異的に発現している可能性が示された。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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