研究課題/領域番号 |
22370028
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
真行寺 千佳子 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (80125997)
|
研究分担者 |
北島 健 名古屋大学, 生物機能開発利用研究センター, 教授 (80192558)
|
研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2013-03-31
|
キーワード | 精子 / 鞭毛運動 / カルシウム / 機械刺激 / 膜タンパク質 / ラフト / 細胞 |
研究概要 |
走化性を示す精子に見られる遊泳方向の制御は、カルシウム濃度に依存した鞭毛運動の変化によって引き起こされる。しかし、膜タンパク質を介する細胞内カルシウム濃度の調節、およびカルシウムによる鞭毛運動の制御の機構はほとんど解明されていない。本研究では、カルシウム反応を「機械刺激により誘導」するという技術的ブレークスルーにより、遊泳方向変化に対応するカルシウム動態を高精度で定量化し、矛盾する2つの説(対称波となるのは細胞内カルシウム濃度が低い時か高い時か)に決着を付け、さらに、カルシウム流入と排出の機構について新しいモデルを提案し、その検証実験を行うことを目指している。23年度までに、対称波が、細胞内カルシウム濃度の緩やかな減少と関連すること(これまでの説とは異なる)を見いだした。今回、カルシウム流入と排出の2011年発表のモデルに加えて、カルシウムストアが精子の運動制御に関与する可能性を示唆する結果を得た。機械刺激により誘導されるカルシウム依存性の鞭毛反応は、興味深い2つの特徴を示す。その1つは、鞭毛波形変化による遊泳軌跡の一連の変化で、底面近くでは典型的に、円軌跡C→停止反応Q→直進S→円軌跡Cを示す。アクチン繊維の重合状態を変化させると、Qが長くなる、Sが消滅するなどの反応が誘導された。もう1つの特徴は、精子が遊泳開始後2-3分経たないと機械刺激によるこの一連の変化が起こらないことである。ストアへのカルシウムの取り込みを阻害する薬剤処理によって、カルシウムキレート下では、通常の遊泳開始が起こる数分間に遊泳率が低下したままとなり、さらにカルシウム存在下では、機械刺激により誘導される停止反応から運動が回復しなくなった。この反応時間の遅れや低下は、カルシウム動態制御に膜タンパク質を介したカルシウム排出のみでなく、ストアによるカルシウム濃度の調節状態が関与することを強く示唆する。
|
現在までの達成度 (区分) |
理由
25年度が最終年度であるため、記入しない。
|
今後の研究の推進方策 |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
|