研究概要 |
1. ホウ酸イオン輸送体の機能解析 ホウ酸イオン輸送体Slc4a11のイオン輸送特性:入手済みの候補分子Slc4a11の活性をアフリカツメガエル卵での発現系を用いた電気生理学的な解析により調べたところ,これまで考えられていたNa+/borate cotransporter活性は検出されず,むしろホウ酸チャネルであることが明らかになった。ホウ酸輸送系を欠く酵母にSlc4a11を発現させ,ホウ酸の輸送活性を測定した結果からもこの事実は支持された。抗体染色の結果,Slc4a11は近位尿細管の管腔側(Apical)に局在することも明らかになった。 2. ホウ酸の排泄機構 ホウ酸輸送活性を有するアクアポリンAQPの同定とホウ酸輸送モデルの構築:私たちが注目しているホウ酸輸送体Slc4a11は,メフグ腎臓の尿細管上皮細胞の管腔側(Apical)に存在し,起電性のB(OH)4- 輸送体として働き,過剰のホウ酸を排泄していると考えられる。これとペアで働く輸送体,すなわち腎尿細管上皮細胞の血管側(Basolateral)で働くホウ酸輸送体の有力候補として,AQP3, 7, 8を同定し,ホウ酸排出機構をほぼ説明できるようにした。特に,AQP8は強いホウ酸輸送活性を有した。昆虫等に比べ哺乳動物が低濃度のホウ酸に対し比較的耐性であるのは,哺乳動物の場合は 腎臓から排泄されるからだと考えられており,本研究を通してヒト等の生理学にも大きく貢献することができた。
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