研究課題
本研究は,これまで系統学的な取り扱いが困難であった巨大クレードの進化史解明の新たな方法論をコイ目魚類で確立し,それを進化的起源 (海水 vs. 淡水) も生物学的特性 (分布・生態) も大きく異なる二つの巨大クレード (ハゼ亜目と骨鰾類) に対して実際に適用するために行った.この方法論の土台となるのが,申請者が考案したミトゲノム超行列と呼ばれるもので,自ら決定する数百のミトゲノム全長配列に,さまざまな遺伝子から得られた数千の部分配列 (データベースからダウンロード) を整列させた混合行列である.コイ目のミトゲノム全長配列59種に基づく論文 (Saitoh et al. 2006) から始まった本研究は,最終的に602種のミトゲノム全長配列からなる大規模行列へと発展し,コイ目魚類の大系統の概要を示すことができた (Miya et al. 2011).この大規模行列から推定された大系統を系統推定の枠組み (constraint) として用い,データベースからダウンロードした部分配列1,073種と合わせて解析したところ (計1,675種),約4,000種を含むコイ目の大系統をかつてない規模で示すことができた (Miya et al. 2011).また,コイ目の一員であるフナ属にこの超行列法を適用して解析を行ったところ,世界に広く分布するフナ属の起源を明瞭に示すことに成功した (Takada et al. 2010).さらに,これと並行してハゼ目152種とコイ目を含む骨鰾類120種のミトゲノム全長配列を決定し,これら二つのグループにおける大系統の概要を得ることができた.後者に関しては Nakatani et al. (2011) でその成果の一端を発表した.コイ目で明瞭に示されたミトゲノム超行列の有用性を,今後両グループで示すことが今後の大きな課題となる.
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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https://sites.google.com/site/masakimiyalab/home
http://scholar.google.com/citations?user=aTG4wPQAAAAJ&hl=en
https://www.researchgate.net/profile/Masaki_Miya/