研究課題/領域番号 |
22370043
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
前仲 勝実 北海道大学, 大学院・薬学研究院, 教授 (10322752)
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キーワード | ペア型レセプター / 細胞表面受容体 / 蛋白質 / 蛋白質間相互作用 / 表面プラズモン共鳴 / NMR解析 / 結晶構造解析 / 免疫制御 |
研究概要 |
ウイルス感染の主たる防御は細胞傷害性T細胞(CTL)やナチュラルキラー(NK)細胞であり、これらを制御する代表的な受容体は、主要組織適合性抗原(MHC)を認識するヒトNK細胞受容体Killer cell immunoglobulin (Ig)-like receptor (KIR)群やLeukocyte Ig-like receptor (LILR)群である。最近、研究代表者らはMHCに提示されるHIVペプチドの変異がCTLだけでなく、KIR群の認識に影響を与えることを見出し、"2重逃避機構Dual escape model"を提唱した。さらに、米グループからLILR群も同様のペプチドによる影響を受けることが報告された。そこで、本研究ではHIV変異ペプチドを提示したMHCとKIR群あるいはLILR群との複合体の結晶構造解析を行い、その分子基盤を明らかにする。 本年度は、混合比などを工夫することにより変異HIVペプチドを提示させたLILRB2-HLA-B27複合体について針状微結晶を再現性よく得ることができるようになったことを踏まえ、X線回折データ測定を行い、条件検討を進めた。その結果、蛋白質結晶である事を確認したが、回折データを取るまでには至らなかった。他方、LILRB2受容体を巻き戻し系で調製後、NMR解析で良好なHSQCスペクトルを得るために様々な条件検討を行った結果、一部の変異導入と溶媒の組成などを工夫する事で大幅に改善する事がわかってきた。今後は、複合体を遺伝子工学的に一本鎖化することや変異導入等の検討を行い、より安定な複合体を形成させ、回折データの収集に進めたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
LILRB2蛋白質の性質改善に広く条件検討を行った結果、より可熔性の高い変異体を見出す事に成功した。これを基にすでに得られているLILRB2-HLA-B27複合体と予想される結晶について、高分解能データを収集できる方向性が見出せてきてる点にある。また、複合体結晶を得るために、他の蛋白質の例を参考に実績を積み重ねてきているので、この背景もいかせるので、平成24年度中には複合体結晶を得ることができると期待している。
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今後の研究の推進方策 |
安定な複合体結晶形成のため、遺伝子工学的にLILRB2とHLA-B27を一本鎖化する事を推進する。同時に、結合部位同定のため、NMR測定も合わせて行う予定である。
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