相同組み換えにおいて中心的な役割を果たす鎖交換反応はリコンビナーゼであるRad51が行う。しかしながらRad51が効率よく働くためにはメディエータと呼ばれるタンパク質が必要である。Swi5-Sfr1はそのようなメディエータのひとつとして同定されてきたものである。分裂酵母由来のSwi5単独およびSwi5-Sfr1C(Swi5は全長、Sfr1はN末側約半分を削ったもの)の構造解析に成功し、さらにこの複合体の生化学的な実験を行い以下のことを明らかにした。Swi5とSfr1Cは全長同士と同様1:1の複合体を形成すること、Swi5-Sfr1Cは全長Swi5-Sfr1とほぼ同等の最大活性をもつが、そのためには約10倍程度の量が必要であること、Swi5単独では一本の長いαヘリックスを形成していたが、Swi5-Sfr1C複合体では3つのαヘリックスに分かれコイルドコイル構造を作っていること、また全体の形として鋭く屈曲していることなどがわかった。この屈曲構造はRad51リコンビナーゼが形成するフィラメント構造の溝にちょうどあてはまることから、Swi5-Sfr1のメディエータとしての働きはRad51の溝に入り込むことでフィラメントを安定化することが強く示唆された。Rad51にSwi5-Sfr1を混合した電子顕微鏡像をみると、この仮説を裏付けるように フィラメントの溝が消失していることがわかった。一方、今回構造解析されなかった領域であるSfr1のN末側領域(Sfr1N)はDNAやRad51フィラメントに対し親和性を有することがわかった。以上のことからSwi5-Sfr1による活性化機構は、Sfr1Nがフィラメントに結合その後Swi5-Sfr1Cがフィラメントの溝の入り込みフィラメントを安定化するものと考えられた。
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