ガレクチン-3が密度依存的に細胞外へ分泌されるメカニズムの解明 1)SNAP-ガレクチン-3の構築:細胞を固定し細胞外へ分泌されたガレクチン-3を抗体で検出すると、固定法により細胞内へ抗体が侵入し細胞膜直下のガレクチン-3を検出し、細胞表面のガレクチン-3と区別できなかった。 そこでSNAP-tagをもつガレクチン-3を構築し、これを発現する安定細胞株を取得し、細胞外に分泌されたSNAP-ガレクチン-3を膜透過性のない蛍光標識をしたSNAPの基質と結合させ解析すると、密度70%の細胞でガレクチン-3は検出され始めた。 2)GFP-ガレクチン-3の局在性:GFP-ガレクチン-3を発現する安定細胞株を取得しその蛍光を観察すると、密度の増加とともに細胞膜直下に顆粒状の構造が観察された。ガレクチン-3はエクソゾーム(外分泌顆粒)を形成して分泌されることから、この顆粒がエクソゾームであることを証明するため、そのマーカーであるRab4に対する抗体で染色した。その結果、ガレクチン-3の顆粒近辺にRab4の抗体が反応したが、さらなる解析が必要である。 3)エクスクリーションのメカニズムの解明:エクソゾームの形成はカルシウムイオンで促進されるので、エクソゾームが見られない密度10%の細胞をカルシウム・イオノフォアA23187で処理をすると、GFP-ガレクチン-3が顆粒状に集積している像が観察された。細胞内カルシウム濃度は密度依存的に亢進するので、現在どの密度で細胞内カルシウム濃度が増大するかをカルシウム・インジケーターFluo-4AMを用いて解析している。 4)カメレオン・タンパク質を発現させた細胞の作製:カメレオン・タンパク質はカルシウムと結合すると、その蛍光をCFPからYFPヘシフトする。この特性を用いて、カメレオン発現細胞でどのような刺激(細胞同士の接着など)でカルシウムが流入するかを特定する予定である。
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