研究課題
交付申請書に記載した3課題のうち「変性神経軸索貪食におけるDraperリガンドの同定」と「大腸菌貪食におけるDraperリガンドの同定」に取り組んだが、大きな進展は見られなかった。その一方、膜リン脂質のホスファチジルセリンを新たなDraperリガンドとして結論付けることができた。また、Draperと独立してアポトーシス細胞と細菌の貪食に働く新たな受容体を同定することができた。1. ショウジョウバエにおけるホスファチジルセリンに依存のアポトーシス細胞貪食:膜リン脂質のホスファチジルセリン(PS)は、線虫と哺乳類で貪食目印として働くことが示されているものの、ショウジョウバエでの役割は不明であった。研究代表者らは、PSの働きを阻害すると貪食程度が7割以下に低下することを示し、PSがショウジョウバエでも貪食に関わることを明らかにした。2. PS結合性貪食受容体としてのDraper:哺乳類のPS受容体に類似の構造を持つDraperがショウジョウバエでのPS受容体として働く可能性を追求した。その結果、DraperはPSに結合し、PS結合によりDraperのチロシン残基リン酸化が増大し、そしてPS結合領域を欠くDraperは貪食活性を示さなかった。以上の結果から、DraperがPS受容体であると結論された。3. Draperとは独立に働く貪食受容体インテグリンαPS3βν:食細胞におけるアポトーシス誘導経路は二通り存在することから、貪食受容体も二種類あると考えられる。そこで、Draperと独立して働くもう一つの受容体を探した。その結果、インテグリンαPS3βνが見いだされ、さらにこれはDraperと同様に細菌貪食の受容体としての役割も担うことがわかった。これにより、ショウジョウバエの二つの貪食受容体ともアポトーシス細胞と細菌のどちらの排除にも働くことが明らかになった。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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