研究課題/領域番号 |
22370054
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
花田 賢太郎 国立感染症研究所, その他部局等, 部長 (30192701)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 脂質輸送 / セラミド / 小胞体 / ゴルジ体 / スフィンゴミエリン |
研究概要 |
脂質が異なるオルガネラ間を移動する際にどのようなメカニズムで運ばれているのか、そして脂質輸送はどのようなメカニズムで制御されているのかは、ほとんど未解明である。我々は、小胞体で合成されたセラミドをゴルジ体へと輸送する蛋白質・CERTを発見した。CERTの解析から、セラミドの小胞体-ゴルジ体間輸送は、両オルガネラ膜が接触した部位において高効率に行われていると示唆されているが、小胞体-ゴルジ体膜接触部位を構成する因子は未解明である。本研究では、CERTの機能を制御するメカニズムを明らかにするとともに、CERTが膜接触部位で機能する仮説を検証することを目的としている。昨年度は、CERTの特定部位のリン酸化によって、CERTと小胞体膜タンパク質VAPとの相互作用が顕著に増強すること、さらに、そのことがCERTを介するセラミドの小胞体-ゴルジ体間輸送を上昇させることも見出した。本年度は、当該リン酸化によって、CERTを介して小胞体とゴルジ体のリンクが起こることを示唆する結果を得た。すなわち、VAPとの相互作用が増強されるCERT S315E変異体をHeLa S3細胞に発現させると、細胞内にCERTがドット状に集積し、そこにはVAPおよびゴルジマーカーGMP130の一部も共局在した。しかし、VAPをノックダウンした場合やCERT S315E変異にFFATモチーフ変異やPHドメイン変異をさらに導入した場合では、このドット状の集積は観察されなかった。これらの実験結果は、CERT機能がリン酸化によって調整されていることを示すとともに、CERTは小胞体-ゴルジ体膜接触部位において機能しているという我々の提唱したモデルを強く支持する証拠でもある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画はほぼ計画通りに進展しており、学会発表レベルには至っているが、成果を論文発表するに至っていない。その理由として、少ないマンパワーにも関わらず、論文作成に必要なデータと量と質により高いレベルを自らに課したことが挙げられる。この努力により、当該年度の研究実績に記載したように、CERTが小胞体-ゴルジ体膜接触部位で働いていることを強く支持する実験結果を得た。これらは、脂質輸送と膜接触部位という細胞生物学上のより大きな課題に対して大きな貢献をする基盤になると期待される。なお、本年度の日本セラミド研究会において第3回JCS Awardが本研究課題代表者の花田に授与された。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の計画に沿って平成24年度までに得た実験結果を平成25年度中には原著論文として発表する。CERTがゴルジ体と相互作用するための構造学的解析を国内の他グループとの共同研究で進めており、こちらも今後の発展が期待できる。さらに、CERTがオリゴマーを形成することを予備的に観察しているので、オリゴマー形成に必要な領域の同定やオリゴマー化の生理的意義を解析することも開始する。これらを解析する手段は基本的にすでに構築しているが、新たに策定した計画すべてを最終年度である平成25年度中にやり遂げるには、時間だけでなく研究費・人力が不足しているので、次期の基盤研究獲得に向けた予備研究としても活用できるように進めるつもりである。
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