研究概要 |
これまでの研究から標的分子の局在をこれまで以上に正確に決めることが可能となり、アクチン線維に結合し、網目形成などを制御するタンパク質の空間配置を解析することに成功した。すなわち、アクチン線維には膜に這うようにして伸展する密着タイプ、膜面より20nm程度離れて伸展するが、所々で接着するタイプ、および接着斑相互を架橋するストレス線維、および細胞質中に存在し複雑な網目様構造を形成するタイプである。制御および効果タンパク質(Rho,Rac,cdc42などの制御タンパク質および効果タンパク質であるN-WASP,IQGAP,VASP,Arp2/3など)の多くは第二のタイプに存在し、膜面に密着するタイプには極めて少数のeffecter蛋白質しか存在せず、枝分かれもすくない。ストレス線維上にもこれらのeffecterタンパク質は存在するが、第二のタイプと比べるとかなり少ない。第二のタイプは細胞辺縁部によく発達し、複雑な網目構造を形成し、しかも制御・効果タンパク質が豊富な点から考えると、辺縁部の運動、特に葉状仮足の形成において中心的な役割を担っているものと思われる。一方、ミオシン2は、この第二タイプのアクチンをはじめストレス線維、また細胞質中に存在する全てのアクチン線維上に多数存在した。しかし、膜に密着するタイプのアクチン線維には極めて少量のミオシン2しか確認できなかった。このことは膜に密着するタイプのアクチン線維を除いて、全てのアクチン線維は運動や輸送に関係していると考えられる。しかし、第一のタイプである膜に密着して伸展するアクチン線維については機能がまだ不明であり、現在解析中である。
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