研究課題/領域番号 |
22370060
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
村本 和優 兵庫県立大学, 大学院・生命理学研究科, 准教授 (50305679)
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キーワード | 生物物理 / ナノバイオ / 蛋白質 / 酵素 / 呼吸鎖 / 生体エネルギー変換 / X線結晶構造解析 |
研究概要 |
呼吸鎖電子伝達系のヘム・銅酸素還元酵素はO_2還元反応とプロトンポンプのエネルギー変換を効率的に実現する。ヘム・銅酸素還元酵素は原核生物から高等生物まで普遍的に存在し、スーパーファミリーを形成する。スーパーファミリーは数タイプのサブファミリーに分類され、aa_3とcbb_3タイプではプロトン輸送経路とエネルギー変換効率が異なり、O_2分圧の異なる環境に適応して機能する。 効率の高いエネルギー変換機構を解明することを目的として、aa_3タイプの高分解能X線構造解析を行った。休止酸化型と還元型の酵素結晶から1.4Å分解能までの回折データを収集した。構造解析の結果、これまでに明らかになった酸化還元に伴う構造変化に加えて、新たに詳細な構造変化が見いだされた。酸化還元に伴い酵素の活性中心部位付近にある水分子のクラスター構造が変化することが明らかになり、これらの水分子の動きが酵素機能に関与していることが示唆される。 エネルギー変換効率を決定する構造化学的要因を解明することを目的として、aa_3タイプの構造をcbb_3タイプと比較解析する。cbb_3タイプの高分解能X線結晶構造解析を行うために、cbb_3タイプの大量発現条件を詳細に検討した。cbb_3タイプを大量発現させた菌体から、cbb_3タイプを精製する条件を検討した結果、十分なO_2消費活性を示す精製標品の収量と純度が向上した。aa_3タイプとcbb_3タイプの活性を比較した結果、アスコルビン酸/TMPDを電子供与体とする系ではcbb_3タイプの方がaa_3タイプよりも顕著に高いO_2消費活性を示すことが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
aa_3タイプの構造解析が1.4Å分解能に到達したことにより、構造上の新たな知見が得られた。cbb_3タイプの大量発現系、および精製方法がほぼ確立された。また、活性測定系が確立され、機能上の特徴が見いだされた。
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今後の研究の推進方策 |
aa_3タイプの1.4Å分解能での構造解析においてモデル構造の精密化を進めるとともに、さらに高分解能での解析可能なデータ収集に取り組む。aa_3タイプの反応中間体の構造解析を進める。cbb_3タイプの精製を進め、収量と純度をさらに向上させる。精製標品を用いて結晶化に取り組む。
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