ヘム・銅酸素還元酵素のエネルギー変換機構解明のための構造・機能解析

2014 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 22370060
• 研究機関: 兵庫県立大学
• 研究代表者: 村本 和優 兵庫県立大学, 生命理学研究科, 准教授 (50305679)
• 研究期間 (年度): 2010-04-01 – 2015-03-31
• キーワード: 生物物理 / ナノバイオ / 蛋白質 / 酵素 / 呼吸鎖 / 生体エネルギー変換 / X線結晶構造解析

研究実績の概要

呼吸鎖電子伝達系のヘム・銅酸素還元酵素はO2還元反応とプロトンポンプのエネルギー変換を効率的に実現する。ヘム・銅酸素還元酵素は原核生物から高等生物まで普遍的に存在し、スーパーファミリーを形成する。スーパーファミリーは数タイプのサブファミリーに 分類され、aa3とcbb3タイプではプロトン輸送経路とエネルギー変換効率が異なり、O2分圧の異なる環境に適応して機能する。

効率の高いエネルギー変換機構を解明することを目的として、aa3タイプのX線構造解析を行った。O2アナログ（CN-, N3-）が結合した酸化状態の構造を詳細に解析した結果、O2アナログの結合に伴いO2還元部位付近において形成される水分子の水素結合状態が変化することが明らかになった。反応中間体の構造解析の結果、O2還元反応生成物のヘムと銅への結合構造、およびプロトン輸送経路の水分子の水素結合構造が明らかになった。

エネルギー変換効率を決定する構造化学的要因を解明することを目的として、aa3タイプの構造と機能をcbb3タイプおよびNO還元酵素と比較解析する。cbb3タ イプの精製標品を用いて酸素消費活性（電子伝達活性）を詳細に測定した結果、電子伝達効率のpH特性がメディエーター（電子伝達の媒介体）分子濃度に依存することが分かった。NO還元酵素と電子供与体タンパク質を精製し、電子供与体酸化活性（電子伝達活性）の測定および共結晶化を行った。その結果、好気条件下において活性が確認され、NO還元酵素とアズリンの混合液中で微結晶が観察された。

現在までの達成度 (段落)

26年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

26年度が最終年度であるため、記入しない。

研究成果

• [雑誌論文] Determination of damage-free crystal structure of an X-ray sensitive protein using an XFEL (2014)
  • 著者名/発表者名: Hirata K, Shinzawa-Itoh K, Yano N, Takemura S, Kato K, Hatanaka M, Muramoto K, Kawahara T, Tsukihara T, Yamashita E, Tono K, Ueno G, Hikima T, Murakami H, Inubushi Y, Yabashi M, Ishikawa T, Yamamoto M, Ogura T, Sugimoto H, Shen J-R, Yoshikawa S, Ago H
  • 雑誌名: Nature Methods 巻: 11 ページ: 734-736
  • DOI: 10.1038/NMETH.2962
  • 査読あり
• [学会発表] 呼吸鎖電子伝達系プロトンポンプ性C型ヘム・銅酸素還元酵素（チトクロムcbb3）の電子伝達活性 (2014)
  • 著者名/発表者名: 村本和優
  • 学会等名: 日本生体エネルギー研究会第40回討論会
  • 発表場所: 愛媛大学（松山市）
  • 年月日: 2014-12-11 – 2014-12-13
• [学会発表] Improved X-ray structures of bovine heart cytochrome c oxidase reveal redox-driven proton active transports by Mg2+-containing water cluster. (2014)
  • 著者名/発表者名: Yoshikawa S, Yano N, Shinzawa-Itoh K, Muramoto K, Yamashita E, Tsukihara T.
  • 学会等名: The 18th European Bioenergetics Conference
  • 発表場所: Lisbon (Portugal)
  • 年月日: 2014-07-12 – 2014-07-17
• [学会発表] 高分解能X線結晶構造解析によって明らかになったチトクロムc 酸化酵素のプロトンポンプ反応過程におけるMgを含む水クラスターの機能 (2014)
  • 著者名/発表者名: 矢野直峰、武村秀平、前田友子、村本和優、山下栄樹、伊藤・新澤恭子、月原冨武、吉川信也
  • 学会等名: 第14回日本蛋白質科学会年会
  • 発表場所: ワークピア横浜/横浜産貿ホール マリネリア（横浜市）
  • 年月日: 2014-06-25 – 2014-06-27
• [学会発表] CN－結合酸化型およびCN－結合部分還元型チトクロムc 酸化酵素の高分解能X線結晶構造解析 (2014)
  • 著者名/発表者名: 川原貴子、長尾修平、島田敦広、矢野直峰、武村秀平、前田友子、村本和優、伊藤・新澤恭子、山下栄樹、月原冨武、吉川信也
  • 学会等名: 第14回日本蛋白質科学会年会
  • 発表場所: ワークピア横浜/横浜産貿ホール マリネリア（横浜市）
  • 年月日: 2014-06-25 – 2014-06-27
• [学会発表] CO結合型ウシ心筋チトクロムc 酸化酵素に対する高分解能X線結晶構造解析法を用いた金属酸化還元中心によるプロトンポンプ制御機構の解明 (2014)
  • 著者名/発表者名: 馬場淳平、島田敦広、矢野直峰、山下栄樹、武村秀平、前田友子、村本和優、伊藤・新澤恭子、月原冨武、吉川信也
  • 学会等名: 第14回日本蛋白質科学会年会
  • 発表場所: ワークピア横浜/横浜産貿ホール マリネリア（横浜市）
  • 年月日: 2014-06-25 – 2014-06-27
• [学会発表] C型プロトンポンプ性酸素還元酵素の精製結晶化 (2014)
  • 著者名/発表者名: 大畠海人、岩本唯、村本和優、城宜嗣
  • 学会等名: 第6回日本生物物理学会中国四国支部大会
  • 発表場所: とりぎん文化会館（鳥取市）
  • 年月日: 2014-05-17 – 2014-05-18