研究課題
本研究では,最近新たに見つかった酸素耐性NAD+還元4量体ヒドロゲナーゼや,膜結合性シトクロムb含有ヒドロゲナーゼの高分解能X線結晶解析を行うことを目的とした.昨年度までに新規のNAD+還元4量体ヒドロゲナーゼをもつ水素酸化菌の培養法とそのヒドロゲナーゼ酵素の精製法および活性測定方法を開発した.膜結合性シトクロムb含有6量体ヒドロゲナーゼについてはX線結晶解析に成功し,分子が3個もつ鉄-硫黄クラスターのうち触媒反応中心であるNi-Fe活性部位のもっとも近くに位置する鉄-硫黄クラスターが,従来まで知られていた[4Fe-4S]-4Cys型ではなく,新規の構造である[4Fe-3S]-6Cys型であることを見出した.また,本膜結合型ヒドロゲナーゼは,O2にさらされたとき,この新規の[4Fe-3S]-6Cys型の鉄-硫黄クラスターが特徴的な構造変化を起こすことを見出し,この構造変化こそが本酵素の酸素耐性の本質であることを提案し,それを2011年のNature誌に発表した.平成24年度は,酸素耐性をもつ膜結合性シトクロムb含有6量体ヒドロゲナーゼの結晶解析をさらに詳細に進めた.昨年度までに,酸素にさらされたときには,[4Fe-3S]-6Cys型の鉄-硫黄クラスターのうちの1個の鉄原子が位置を変化させ,近くのアミノ窒素による配位結合を受けることを明らかにしていたが,それに加えてさらに,近くのグルタミン酸側鎖のカルボキシ酸素も同じ鉄原子に配位した部分構造も認められることがわかった.どちらの構造が酸素耐性により大きく寄与しているかを調べるためにさらに詳細に構造解析を進めている.NAD+還元4量体ヒドロゲナーゼについては,3 Å分解能の結晶構造を解析し,金属原子の空間配置をほぼ決定した.さらに分解能を上げて全構造の解明を目指している.
24年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2013 2012
すべて 雑誌論文 (15件) (うち査読あり 9件) 学会発表 (15件) (うち招待講演 6件)
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