研究課題
研究代表者は、ノンストップmRNAの翻訳阻害機構を解析し、連続した塩基性アミノ酸残基による翻訳伸長阻害(アレスト)を明らかにした。これは、合成途中の新生ポリペプチド鎖とリボソームトンネルとの相互作用による翻訳制御が、真核生物に広く存在することを強く示唆する。最近出芽酵母を用いて、新生ポリペプチド鎖に依存した翻訳アレストに必須な因子としてRACK1を同定した。RACK1は真核生物に広く保存され、様々なシグナル伝達に関与する。また、40Sリボソームサブユニットに結合し翻訳制御に関与する事が示唆されている。研究代表者は、新生ポリペプチド鎖の配列に依存した翻訳アレストの分子機構と、RACK1依存の翻訳アレストの生理的意義の解明を本研究課題の目的とした。具体的な研究項目は以下の3点である。【1】新生ポリペプチド鎖依存の翻訳アレストの分子機構【2】減数分裂における翻訳アレストの機能【3】翻訳アレストに共役したタンパク質とmRNA安定性制御の分子機構とその生理的意義。平成22年度には、新生ポリペプチド鎖に依存した翻訳アレストに必須な因子としてのRACK1の同定と、RACK1が40Sリボソームサブユニットに結合することが翻訳アレストに必須であることを発表した。平成23年度は、連続した塩基性アミノ酸配列に加え連続したレアコドンによる翻訳アレストにもRACK1が必要であることを明らかにした。また翻訳アレストに共役したタンパク質の分解において、2つのE3ユビキチンライゲースの基質特異性を解析し、Ltn1は翻訳アレストに共役したタンパク質分解に普遍的に機能するのに対し、Not4はmRNA内での翻訳アレストの場合にのみに機能することを明らかにした。平成24年度には翻訳アレストに必要な新規因子を同定し、RACK1とは独立の経路で翻訳制御を行うことが明らかとなった。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)
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http://www.pharm.tohoku.ac.jp/~idenshi/inada_lab_HP/HOME(Japanese).html