1)脱ユビキチン化酵素USP18をヒト細胞に過剰させると、アグリソームと呼ばれるタンパク質凝集体が微小管形成中心に形成誘導される。本研究では、USP18によるアグリソームの形成に関し、そこに内在性のユビキチン化タンパク質や凝集性タンパク質のモデルタンパク質が含まれること、細胞内の変性タンパク質の量を増加させる処理によりUSP18誘導性アグリソームの数が増加すること、このアグリソームの形成誘導にUSP18のN末端領域とC末端領域が重要な役割を果たすことを見出した。 2)脱ユビキチン化酵素USP36は核小体に局在し、リボソームの生合成を正に制御するタンパク質である。本研究課題では、USP36をN末端、中央、C末端の3つの領域、およびC末端領域に存在する塩基性アミノ酸に富んだ20アミノ酸程度の核小体局在化シグナル配列に結合する低分子化合物のスクリーニングを行い、合わせて35種類のUSP36結合化合物を同定した。その中で、核小体局在化シグナル配列に結合する化合物をヒト細胞の培養液に添加した結果、その中の1つの化合物によりUSP36の核小体局在が失われ、USP36が核質に漏出することを見出した。 3)脱ユビキチン化酵素USP37は3つのユビキチン結合配列UIMをもつ。USP37の機能における各UIMの役割を調べた結果、C末端側の2つのタンデムUIMがUSP37のユビキチン結合に必須の役割を果たすことを見出した。さらに、この2つのUIMがUSP37の基質となるユビキチン鎖に結合して基質を酵素活性中心の近傍に安定的にポジショニングすることにより、USP37の高い酵素活性の発現に重要な役割を果たしていることを見出した。
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