研究課題/領域番号 |
22370071
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
三原 勝芳 九州大学, 医学研究院, 名誉教授 (40029963)
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研究分担者 |
岡 敏彦 九州大学, 医学研究院, 准教授 (40263321)
大寺 秀典 九州大学, 医学研究院, 助教 (40380612)
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キーワード | ミトコンドリア / 膜融合 / 膜分裂 / GTPase / アポトーシス / オルガネラ / オルガネラダイナミクス / 神経変性疾患 |
研究概要 |
ミトコンドリア(Mt)は外膜、内膜2枚の膜に囲まれ細胞における好気的ATP産生、アポトーシス、カルシウムシグナリングなどに関わる真核細胞に必須のオルガネラであり、細胞の環境や病態に応じて融合・分裂を介してダイナミックに形態を変化させるが、この動態の調節は細胞の生と死に重要な役割を果たす。この調節には4つの高分子量GTPaseが主要な因子として関与する;細胞質に局在しMtにリクルートされてMt分裂を行うDrp1、外膜の融合に関わるMfn1とMfn2、ならびに内膜の融合とクリステ構造維持に関わる膜間部のOPA1(内膜結合)である。本申請は哺乳類Mtの融合・分裂の分子機構を明らかにすることを目的とし、平成23年度は以下の事柄を明らかにした。 (1)Mtの分裂に関わる細胞質の因子Drp1の全身Drp1-KOならびに神経Drp1-KOマウスの作成に続いて肝臓、膵臓β細胞、心筋、卵巣でのDrp1-KOマウスを作製し解析を行っている。膵臓β細胞では2型糖尿病の、心筋では心筋梗塞の症状を示し、また卵巣では卵の分裂停止を惹起することが明らかになった。(2)Mt外膜上のDrp1受容体の実態は長らく不明であったが、我々は従来考えられていたFis1ではなく新規な外膜蛋白質MffがDrp1受容体として働くことを明らかにし、現在反応機構解析を行っている。(3)Mffの高次機能を解明する目的でMff-KOマウスの作成に着手しES細胞を胚盤胞に注入する段階に到った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ノックアウトマウスのフェノタイプの解析は順調に進んでいるが、組み替えMffとDrp1を用いたin vitro分裂反応の機構解析に手間取っている。組み替えMffが可溶性の安定な標品として調整できないことが原因の一つである。
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今後の研究の推進方策 |
ノックアウトマウスの解析はこのまま進行させる。分裂機構解析は別のMff発現用プラスミドに切り替えて組み替え体の精製を行い直面している問題を解決する。
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