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2011 年度 実績報告書

哺乳類Hippo経路によるインテグリン依存性細胞増殖と機能の制御

研究課題

研究課題/領域番号 22370072
研究機関関西医科大学

研究代表者

木梨 達雄  関西医科大学, 医学部, 教授 (30202039)

キーワードMst1 / Mst2 / インテグリン / Outside-inシグナル / Rap1
研究概要

Mst1、Mst2はショウジョウバエHippoのホモログであり、哺乳類Mst1は増殖、アポトーシスに関与していることが示唆されていることから、ダブル欠損マウスを作製しその生理的機能を解析した。Mst1はリンパ組織に多く発現し、免疫細胞に特に発現が多いのに対して、Mst2は多くの組織で発現している。Mst2欠損マウスは発生および発育に異常は認められなかった。リンパ節、脾臓、胸腺のリンパ球数、各サブセット(naive リンパ球,制御性T細胞、辺縁洞B細胞、など)、も正常であった。T細胞を単離し、抗原刺激による増殖やアポトーシスを調べたが、野生型と同じ程度で特に異常は見られなかった。また、T細胞をラベルし、野生型マウスに移入してリンパ球ホーミングを調べたが異常は見られなかった。Mst1/Mst2のダブルノックアウトは胎性致死であるので、Lck-Creマウスと交配し、T細胞系列でダブル欠損マウスを作製した。その結果、Mst1で見られた末梢リンパ組織(リンパ節や脾臓)でのTおよびBリンパ球数と比較してさらに減少していた。T細胞を単離しリンパ球のホーミングを調べたところ、著しい低下がみられた。Mst1欠損では加齢とともに活性化エフェクター細胞が増加するが、ダブル欠損では若齢からエフェクター細胞が増加傾向であった。Mst1の下流分子と報告されているFoxo1,Foxo3などの発現は正常であった。in vivoでnaive T細胞の異常な活性化はMst1で見られた自己寛容の破綻である可能性がある。in vitroではMst1同様に、明らかなRAPLとSARAHドメインを介した結合がみられた。これらの結果から、Mst2は少なくともリンパ球に関してはMst1と同様な機能をもつが、必須ではないことが明らかになった。今後、ナイーブT細胞の減少と活性化T細胞の増加の原因を探る予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Mst1,Mst2ダブルノックアウトマウスの作成に成功し、予定通りの解析ができた。

今後の研究の推進方策

Mst1/Mst2ダブル欠損でおこる活性化T細胞の増加、およびリンパ球動態の異常の原因を探る。また、Rapla/Raplbのダブル欠損と比較検討して、Rap1シグナル下流分子としてのMst1/Mst2の機能をさぐることも検討したい。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Overview of integrin signaling in the immune system2012

    • 著者名/発表者名
      Kinashi, T.
    • 雑誌名

      Methods Mol.Biol.

      巻: 757 ページ: 261-78

    • 査読あり
  • [学会発表] Mst1 regulates thymocyte trafficking and antigen recognition within thymic tissues2011

    • 著者名/発表者名
      Ueda Yoshihiro1, Katagiri Koko2, Tomiyama Takashi1, Yasuda Kaneki1, Habiro Katsuyoshi1, Katakai Tomoya1, Ikehara Susumu3, Kinashi Tatsuo1, (1Department of Molecular Genetics, Institute of Biomedical Science, Kansai Medical University. 2Department of Bioscience, School of Science and Technology, Kwansei Gakuin University. 3Department of Stem Cell Disorders. Kansai Medical University.)
    • 学会等名
      2011 The Annual Meeting of the Japanese Society for Immunology
    • 発表場所
      Makuhari Messe Chiba Japan
    • 年月日
      20111127-20111129
  • [学会発表] Crucial roles of Mst1 and RAPL (RASSF5) in lymphocyte adhesion and proliferation2011

    • 著者名/発表者名
      Tatsuo Kinashi, Koko Katagiri, Katakai Tomoya, Yoshihiro Ueda, Katsuyoshi Habiro
    • 学会等名
      2nd International RASSF Symposium
    • 発表場所
      Oxford England
    • 年月日
      20110713-20110716
  • [学会発表] イメージングによるリンパ球組織内移動の調節とその破綻の解析2011

    • 著者名/発表者名
      木梨達雄
    • 学会等名
      第61回日本アレルギー学会秋季学術大会
    • 発表場所
      グランドプリンスホテル・東京
    • 年月日
      2011-11-12
  • [図書] <Seriesモデル動物利用マニュアル>疾患モデルの作成と利用-免疫疾患2011

    • 著者名/発表者名
      木梨達雄(岩倉洋一郎編)
    • 総ページ数
      515-522
    • 出版者
      インテグリンファミリー(LFA-1,VLA-4ICAM-1,VCAM-1)
  • [備考]

    • URL

      http://www3.kmu.ac.jp/molgent/index.html

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公開日: 2013-06-26  

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