研究課題
前年度Mst1/2欠損マウスの解析から、Mst2がredundantであることからMst1欠損マウスに絞って解析を行った。Mst1欠損マウスではT細胞依存性に活性化T細胞の増加と多臓器への浸潤、自己抗体の産生が加齢とともに顕著になることが判明した。胸腺細胞の選択過程では、Mst1欠損によって正の選択、負の選択過程の障害が認められた。さらにICAM-1欠損胸腺細胞をT細胞欠損マウスに移入によって活性化T細胞の増加、肺、肝臓などへの浸潤が引き起こされたことから、Mst1によるLFA-1/ICAM-1を介する接着制御の異常が免疫寛容破綻につながり、活性化T細胞必要であることが示唆された。胸腺組織ではICAM-1は髄質内の樹状細胞(DC)、胸腺上皮細胞(mTEC)に発現していることから、これらの抗原提示細胞と胸腺細胞の相互作用を2光子顕微鏡による胸腺組織イメージングを用いて解析した。その結果、CD4+胸腺細胞の髄質内での移動、および抗原認識にMst1によるLFA-1/ICAM-1を介した接着が必要であることが判明した。Mst1欠損マウスおよびT細胞特異的Mst1欠損では胸腺内制御性T細胞(Treg)が低下しており、Mst1がTregの分化に必要であることが明らかになった。Mst1欠損Tリンパ球は抗原特異的接着障害が障害されていることから、免疫シナプスの形成をplanar lipid bilayerを用いて詳細に調べた。その結果、Mst1欠損Tregはpeptide-MHCのクラスター形成、ICAM-1リングいずれも形成できなかった。また、in vitroではMst1欠損胸腺細胞はアポトーシスを起こしやすい傾向にあったが、in vivoではMst1欠損によってTリンパ球は抗原特異的接着構造の形成障害がおこり、自己寛容の破綻から活性化T細胞の増加につながった可能性が示された。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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