前年度までに取得した、減数分裂進行に欠損を示す変異体B05、および、その関連遺伝子についての解析をすすめた。減数分裂進行において、S期を伴わない連続する核分裂の制御機構については、第一分裂のあと、本来、完全に分解されるべきMPF(有糸分裂促進因子、Mitosis Promoting Factor)の一部が分解されないまま残っているために、S期へ進行することができず、結果として核分裂が連続するというモデルが一般的である。我々は、分裂酵母のMPF構成因子であるB-サイクリン(遺伝子名cdc13)の機能的GFP(緑色蛍光タンパク質)融合遺伝子を作成し、野生型、およびB05変異体においてその挙動を生細胞連続観察した。野生型におけるCdc13の挙動は、従来、報告されていたものとは、異なり、第一分裂終了後に、ほぼ完全に消失していた。このことは、少なくとも分裂酵母では、減数分裂の進行において、第一分裂後のMPFの不完全な分解が、S期を抑制し第二分裂へ進行させるという一般的なスキームとは、ことなる制御機構の存在を示唆しているものと考えられる。一方、B05変異におけるCdc13の挙動は、本来分解されるべき第一分裂後期開始時点では、分解されないまま存在し、野生型における第二分裂後期開始とほぼ等しいタイミングでようやく分解されるという結果であった。このことから、第一分裂と第二分裂のそれぞれの後期開始におけるMPFの分解機構になんらかの特異性の存在が示唆された。
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