研究概要 |
本年度は転写因子SiaのChIP-seq解析を行った。Siaは頭部オーガナイザーの形成に関わり、単独でXenopus胚に完全二次軸を形成させる活性をもつ。抗Sia抗体は本研究室で作成したもの(Sudou et al., 2012, Development 139:1651)を用いた。データ解析は、X. tropicalisゲノム配列version 7.1と、ピーク検出法としてMACS (Model-based Analysis of ChIP-Seq) を用いた。これまでChIP-seq解析を行ってきた転写因子Lim1、Otx2、Gsc、Mix1、VegT、およびヒストン修飾H3K4me1、H3K27acは、tropicalisゲノム配列version 4.1と、ピークの検出法として菅野研で作成したプログラムを用いていたので、これらについても全てデータ解析をやり直した。 全てのChIP-seqピークデータを用いて相互の共局在を検討した結果、SiaはTLE, Mix1, p300, Otx2と共局在するシス制御モジュール(CRM)が最も多かった。そこでこれら5つのピークが重なった領域をtype A CRMとして、その特徴を解析した。その結果、type A CRMsは、以前同定した83個の頭部オーガナイザー遺伝子の近傍に複数存在し、その存在比率は他の遺伝子に比べて有意に高かった。そこで任意に選んだ18個のtype A CRMsをクローニングしてレポーター解析を行ったところ、これらはSiaに反応してレポーター遺伝子を活性化し、かつトランスジェニック胚では頭部オーガナイザー領域での発現をもたらした。従ってtype A CRMsをもつ頭部オーガナイザー遺伝子はSiaの標的遺伝子であることが強く示唆された。
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