研究課題/領域番号 |
22370078
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
西田 宏記 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60192689)
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研究分担者 |
熊野 岳 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教 (80372605)
西野 敦雄 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教 (50343116)
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キーワード | 胚発生 / 局在mRNA / 中胚葉 / ホヤ / 左右非対称性 / Noda1 |
研究概要 |
発生が完了した後のからだには、3つの直交する体軸(すなわち動植・前後・左右軸)が存在している。これらの体軸は、一般的に胚発生中に形成される。これらの胚軸の方向と極性、そして軸に沿った組織の配置がどのようにして確立されるのかを研究している。本研究では尾索動物のマボヤを用いて解析を行っている。 動植軸:内胚葉と中胚葉の分離 中内胚葉細胞が32細胞期に分裂する際に、中胚葉になる娘細胞にのみNot遺伝子のmRNAを分配することで中胚葉と内胚葉運命を分離していることが明らかになっている。この際に中内胚葉細胞内でNotを転写しつつある核が、将来の中胚葉側に移動し、そこでNot mRNAが細胞質に放出されることがその局在に必要である。核が将来の中胚葉側へ移動するプロセスはPI3KとPTENによるPIP3のリン酸化平衡によりコントロールされている可能性が高いことがわかった。 左右軸:左右軸決定機構と胚の回転 多くの動物の体は左右非対称性を示す。Noda1の左側での発現は非常によく保存されており、ホヤでもNoda1が左側で発現し、Pitxがその下流にある。我々は、Noda1発現の直前にホヤの神経胚が、卵膜の中で前後軸に沿って一時的に反時計回りに回転すること、この回転によりNoda1が左側で発現し始めることを発見していた。今年度は、神経胚の回転により左側の表皮が卵膜と接触することにより、卵膜からの化学的シグナルに応答して左側表皮にNoda1の発現が誘導されることを確定し、これらをまとめた論文がDevelopmentに出版された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
内胚葉と中胚葉の分離、および左右非対称性の形成メカニズムに関して、研究が大幅に進んだ。また、インパクトファクターの高い雑誌に多くの論文を出版することができた。
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今後の研究の推進方策 |
内胚葉と中胚葉の分離に関しては、さらに研究を進め、我々の仮説が正しいことを詳細な実験に基づき検証していく。 左右非対称性に関しては、卵膜から放出されている化学シグナルの同定に向け、研究を展開していく。まずは、卵膜を可溶化し、それを用いて胚を処理することによりnoda1の発現が誘導できるかを確かめる。
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