研究課題/領域番号 |
22370078
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
西田 宏記 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (60192689)
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研究分担者 |
熊野 岳 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教(Research Associate) (80372605)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 胚軸 / ホヤ / 前後軸 / 動植軸 / 左右非対称性 / 胚発生 / Not遺伝子 |
研究概要 |
発生が完了した後のからだには、3つの直交する体軸(すなわち動植・前後・左右軸)が存在している。これらの体軸は、胚発生中に形成される。これらの胚軸の方向と極性、そして軸に沿った組織の配置がどのようにして確立されるのかを研究している。本研究では尾索動物のマボヤを用いて解析を行っている。 動植軸:内胚葉と中胚葉の分離について 中内胚葉細胞が分裂する際に、中胚葉になる娘細胞にのみNot mRNAを分配することで中胚葉と内胚葉運命を分離していることが明らかになっている。この時、Notを転写しつつある核が、将来の中胚葉側に移動し、そこでNot mRNAが細胞質に放出されることがその非対称分配に必要である。昨年度より核が将来の中胚葉側へ移動するプロセスはPI3KとPTENによるPIP3のリン酸化平衡によりコントロールされている可能性が高いことがわかりつつあったので、様々な実験を行いその可能性を確定し、報告した。PI3Kタンパク質は動物極から植物極にかけて濃度勾配をなして存在しており、中内胚葉割球では将来の中胚葉側に多い。PI3Kタンパク質は酵素反応でPIP3を産生し、中内胚葉割球の核はPIP3の濃度の高い方に向かって移動することがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
内胚葉と中胚葉の分離に関して研究が進み、PI3Kの細胞内濃度勾配の関与が確定し、結果をまとめて報告することができた。よって、研究はおおむね順調に進んでいるということができる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、卵成熟過程において動物―植物軸ができる過程とそのしくみに関して研究を進める。特に卵核胞の位置が動物―植物軸形成に果たす役割を実験的に解析していく。また、左右軸に関しても解析を進める予定である。神経胚回転において、胚表の繊毛が果たす役割を解析すると共に、左右非対称性を作り出すシグナル分子についてもその同定を試みる。
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