研究課題
発生が完了した後のからだには、3つの直交する体軸(すなわち動植・前後・左右軸)が存在している。これらの体軸は、胚発生中に形成される。これらの胚軸の方向と極性、そして軸に沿った組織の配置がどのようにして確立されるのかを研究している。本研究では尾索動物のマボヤを用いて解析を行っている。胚の前方で起こる脊索誘導においてデフォルト運命の抑制機構を解析した。マボヤの胚後方における間充識誘導では、FGFシグナルの下流で働くtwist -like,Lhx3の2つの転写因子によりデフォルト運命である筋肉の形成が長期間にわたり抑制されることが以前の研究からわかっていた。twist-like遺伝子は間充織特異的に発現しその分化に関わるキー転写因子である。またLhx3はマボヤでは内胚葉形成に必要な因子として知られ、内胚葉では32細胞期から発現し64細胞期では脊索と間充識に一時的に発現する転写因子である。そこで同様のデフォルト運命抑制機構が胚前方に存在するか調べた。すなわち脊索のキー転写因子であるBrachyuryと、やはり同じく脊索に発現するLhx3に着目し実験を行った。この2つの転写因子それぞれの過剰発現実験では神経索においてその分化マーカーの発現が抑制された。一方、機能阻害実験では両方同時に阻害しても脊索割球において異所的な神経索の分化マーカーは発現しなかった。つまりこの二つの転写因子は、それぞれ神経索デフォルト運命を抑制することはできるが、必ずしも両方が必要ではないことが示された。これらから脊索割球で発現し、FGFの下流に存在する未知の蛋白Xの存在が示唆された。BrachyuryとLhx3に加え、蛋白Xがそれぞれリダンダントにマボヤ神経索デフォルト運命を抑制しいていると推測された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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