研究課題/領域番号 |
22370084
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
大橋 順 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 准教授 (80301141)
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研究分担者 |
木村 亮介 琉球大学, 亜熱帯島嶼科学超域研究推進機構, 特命准教授 (00453712)
西田 奈央 独立行政法人国立国際医療センター, 肝炎・免疫研究センター, 上級研究員 (50456109)
中山 一大 自治医科大学, 医学部, 助教 (90433581)
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キーワード | オセアニア / 肥満 / BMI / 多型 / 脂質代謝 / 糖代謝 / 倹約遺伝子仮説 |
研究概要 |
近年、南太平洋に居住するオセアニア集団において肥満者の割合が急増しており、深刻な健康問題となっている。オセアニアのオーストロネシア語族(AN)集団の祖先は比較的最近(5000年程度前)に東南アジア(台湾)からオセアニアに移住し、高度な航海技術を駆使して太平洋全域に拡散した。その拡散過程において、船上での厳しい環境や離島での貧弱した陸生資源に適応する必要があり、潜在的にエネルギーを倹約する遺伝形質がAN集団中に広まり、今日の近代化による食糧の過剰摂取、運動不足により肥満者の割合が増えたとする仮説がある(倹約遺伝子仮説)。当該年度は、AN集団に属するソロモン諸島ウエスタン州のムンダ村民、パラダイス村民、ラワキ村民、トンガ王国のトンガ人の18歳以上の成人約700人を対象とし、β2アドレナリン受容体遺伝子(ADRB2)のプロモーター多型(rs17778257)、Arg16Gly(rs1042713)、Gln27Glu(rs1042714)、β3アドレナリン受容体遺伝子(ADRB3)のTrp64Arg(rs4994)、レプチン遺伝子(LEP)のプロモーター多型(rs7799039)、レプチン受容体遺伝子(LEPR)のLys109Arg(rs1137100)、Gln223Arg(rs1137101)と、肥満(BMI>30kg/m^2)との関連を検討した。年齢、性別、集団を調整して統計解析を行ったところ、ADRB2のrs17778257-A、16Gly、27GluとLEPRの223Glnが肥満と有意に関連していた。倹約遺伝子仮説が正しいとすれば、これらの肥満関連アリルのAN集団での頻度は、台湾原住民における頻度よりも高いと期待される。現在、当仮説を検証すべく、より多くの肥満関連多型の検出を試みている。
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