研究課題
本研究では、デデリエ洞窟より2008-2009年の調査において新たに発見された幼児骨の整理、復元、形態学的記載・比較研究をおこなうことを目的としている。既発表の2体のネアンデルタール幼児骨格とともに、新資料は化石人類の成長研究において重要な標本群をなすと思われ、分析研究による新知見が期待できる。さらに本研究では、出土人骨・動物骨に付着するマトリックスと人骨周辺の土壌サンプルの堆積学的組成分析を行い、発掘時調査データ・出土人骨情報・考古学的情報と照合することにより、人骨を中心とした化石生成史の復元を目指す。3年の研究期間内に遂行する研究予定は、以下に示すものである。1:シリアより共同研究者を招聘(人骨資料の搬送)、2:骨格資料整理、人骨同定、復元、マトリックス回収、3:発掘データの整理、人骨出土状態の記載、4:人骨形態記載、CT撮影、比較データ収集・分析、3次元レプリカモデル作成、5:土壌サンプル、骨に付着した堆積マトリックスの分析、6:研究成果の発表、出版H22年度はこのうち1(近藤、赤澤、海外共同研究者Youssef Kanjou)を完了し,2(近藤、石田、Youssef Kanjou)に着手し、一部人骨の同定を行った。3(赤澤、近藤)の遂行のため、2011年2月~3月にかけてシリアへ赴き、短期間の現地調査を行った。5(小口)に着手し、一部分析を始めた。さらに現地調査にて層序の確認をおこなった。
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