研究課題/領域番号 |
22370092
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
甲田 勝康 近畿大学, 医学部, 准教授 (60273182)
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研究分担者 |
伊木 雅之 近畿大学, 医学部, 教授 (50184388)
中村 晴信 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (10322140)
藤田 裕規 近畿大学, 医学部, 助教 (10330797)
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キーワード | 骨量 / 成長 / 小児 / 環境 |
研究概要 |
ヒトの小児期は、新生児期、乳児期、幼児期、学童期、思春期などに分けられる。このうち、思春期は成人期の骨格を決定づける時期であり、骨塩量はこの時期に急増し、16~20歳で最大値(最大骨塩量)に達するとされている。しかしながら、思春期の骨塩量のデータは希少である。二重エネルギーX線吸収法(DXA法)は2種類の異なるX線エネルギーを使用することで骨と軟部組織とを判別し、局所および全身の骨塩量を正確に測定する方法である。研究代表者らは平成22年度にDXA法による骨量測定装置搭載バスを複数の学校に持ち込み、小学生高学年の全身の骨塩量を測定し、成長期の骨代謝と環境因子の関わりについて環境適応能の視点から検討した。平成23年度も引き続き、全身骨塩量の調査を行い、サンプル数を増やした。対象は保護者から文書で同意が得られた児童生徒であり、研究は近畿大学医学部倫理委員会の承認を得て行った。その結果、思春期の全身骨塩量は幼少期の発育と関係することが明らかとなった。つまり、思春期の全身骨塩量は出生時の体格とは殆ど相関しなかったが、出生時から3歳時までの体格の変化とは正の相関をした。さらに、思春期の全身骨塩量は3歳時の体格と正の相関をした。また、母親の体格は、思春期の全身骨塩量と正の相関をした。このことから、母親を中心とした家庭環境が思春期の全身骨塩量に影響をおよぼしている可能性が示唆され、思春期の全身骨塩量は出生までの遺伝的要因や胎内環境よりも出生後の生活環境により強く影響を受けることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究開始当初に予定していた調査が順調に行われ、予定していた解析対象者数も得られた。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度も当初の研究計画に従い、平成22年および平成23年度と同様に、DXA法による骨量測定装置搭載バスを学校に持ち込み、小児の全身の骨塩量を測定し、成長期の骨代謝と環境因子の関わりについて環境適応能の視点から検討する。
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