研究概要 |
本研究の目的は、イネの胚形成に関わる多数の変異体から原因遺伝子を単離し、その遺伝的なネットワークと情報伝達を明らかにする事である。具体的には、イネの未分化型胚発生突然変異体から主にマップベースクローニング法により変異の原因遺伝子を単離し、その機能を明らかにする事である。これまでに、次世代シーケンサーによる解析に参加出来た幸運もあり、研究は当初の計画を上回るスピードで成果を上げた。その内容は、odm41, odm45, odm192, odm113, odm300, odm310,08T6S44, 08T7S11の計8系統から5つの原因遺伝子を単離し、その機能解析を行った(アレル関係にある系統があるため、8系統から5つの遺伝子を単離出来た)。このうちの2つについては既に研究成果を論文にまとめる作業に入っている。残る3つも、相補実験の終了を待って、論文作成に取りかかる状況である。このように、本年度までに研究課題の目的はほぼ達成された。また、これまでに単離してきた遺伝子のうち3つは細胞間のシグナル伝達をになう因子であり、胚形成の初期において器官や細胞の分化を制御する未知のシグナル分子の存在を明らかにする事ができた。このように、本研究課題「イネの胚形成における器官分化の分子機構」はこれらの発見により、これまでに予想し得なかった新局面を明らかに迎えた。
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