研究課題
本研究は、ダイコンの雄性不稔と稔性回復の分子機構を最新の分子生物学的方法で明らかにするとともに、ミトコンドリアの雄性不稔遺伝子と核の稔性回復遺伝子(Rf遺伝子)の多様性が産み出される原因をDNAの塩基配列レベルで明らかにすることを目的とする。本年度の研究実績は以下の通りである。平成24年の開花シーズン(3月中旬~7月初旬)に、宮崎県、鹿児島県、和歌山県、沖縄県、福井県、神奈川県、三重県、愛知県、石川県、高知県、徳島県、香川県、青森県、秋田県、および北海道にてハマダイコンの調査を行い、現地で実際に雄性不稔を示している個体を多数(84個体)採取した。これらの個体からDNAを単離し、PCR法によりミトコンドリアゲノムのタイプを調査したところ、すべてオグラ型と判定され、新規雄性不稔細胞質は発見できなかった。また、上記雄性不稔個体とともに現地で採取した、ハマダイコンの可稔490個体のミトコンドリアゲノムも合わせて調査したところ、385個体がオグラ型、22個体がコセナ型と判定され、正常型細胞質を持つものは83個体のみであった。このことから、日本のハマダイコンには、オグラ型/コセナ型雄性不稔細胞質が高頻度に存在する一方、核には雄性不稔の発現を抑制する何らかの稔性回復遺伝子が広く分布していることがわかった。コセナ型雄性不稔の原因遺伝子であるミトコンドリアのorf125遺伝子の多型をシークエンシングにより調べたところ、三重県の1個体に、東北地方を中心に日本で広く観察されるオリジナルorf125配列と比べ1つのSNPが観察された。三重県のハマダイコンの集団には、同じSNPを有するオグラ型も存在したことから、オグラ型orf138遺伝子からコセナ型orf125遺伝子を生じる欠失変異は日本各地で多元的に生じていることが示唆された。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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BMC Genomics
巻: 13 ページ: 352
doi:10.1186/1471-2164-13-352