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2011 年度 実績報告書

遺伝子探索を効率化するデジタル遺伝子発現QTL解析法の確立

研究課題

研究課題/領域番号 22380009
研究機関信州大学

研究代表者

松村 英生  信州大学, ヒト環境科学研究支援センター, 准教授 (40390885)

キーワードデジタル遺伝子発現解析 / 次世代DNAシークエンサー / 遺伝子発現QTL / イネ / Recombinant Inbred Line / 遺伝子型タイピング
研究概要

低温発芽性RILsを用いた遺伝子発現QTL解析を目標として、まず材料となる系統の大規模なDNA配列多型解析を行った。低温発芽性に優れるイネ品種「Arroz da terra」と低温発芽性の劣る品種「いわてっこ」のゲノムDNAを供試し、制限酵素PacIを用いたゲノムタグ解析(RAD-tag解析)を行った。「Arroz da terra」については8,462,936タグ、「いわてっこ」については7,309,743タグが得られた。このタグ数からPacIで切断したほぼ全ての断片の末端配列が得られていると推測できる。両品種の各タグ配列のタグ数(出現頻度)を比較し、どちらかの品種でのみ出現しかつ50タグ以上であるタグを品種特異的タグとして選別した結果、いわてっこ特異的タグとして2,684種類、Arroz da Terra特異的タグとして3,057種類が見出された。いわてっこ特異的タグについてはリファレンスゲノム(品種「日本晴」)にマッピングを試みたところ、各染色体上に分布することが示された。つづいて両品種の交雑後代であるRILsの96系統の各々からゲノムDNAを抽出し、同様に制限酵素PacIを用いたゲノムタグ解析(RAD-tag解析)を行った。抽出したタグDNA断片はイルミナ社Hiseq2000シークエンサーで解析し、平均1,317,151タグ/系統のタグを解析した。これら96系統のRILsにおける上記のいわてっこ及びArroz da Terra特異的タグの出現の有無によって遺伝子型タイピングを行うことができた。いわてっこ及びArroz da Terra特異的タグのうち両者で1ないし2塩基違いのタグを同一遺伝子座由来の対立遺伝子を表す共優性マーカーとして捉え、RIL,s各系統での各タグの有無からいわてっこ型、Arroz型、ヘテロ型のタイピングを行ってグラフィカルジェノタイプを作成した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

RILsについての遺伝子発現解析についてもH23年度中に実施を完了すべきであった。
これらの解析はH24年度において実施する計画である。

今後の研究の推進方策

a)低温発芽性RILsを用いた遺伝子発現QTL解析
「いわてっこ」と「Arroz da terra」を親として作出したRILsについてゲノム全体を網羅した遺伝子型タイピングを先に実施したため、低温(15□)発芽時の遺伝子発現解析(SuperSAGE解析)を行い、遺伝子型情報と組み合わせて遺伝子発現制御領域を見出す。同時に低温発芽時の生長測定も行い、可視的な表現型を支配する領域との比較も行う。
b)品種間におけるゲノム多型および遺伝子発現量の評価
イネコアコレクション(日本および世界)の全て(120品種)についてゲノムタグ解析により網羅的なゲノム多型情報を収集する。これにより連鎖不平衡の評価を行う。また同時にそれらの発芽時あるいは幼植物体の遺伝子発現解析も行い、ゲノム多型との連関が見られるような遺伝子発現を見出す。別途、以前の研究で見出されている花粉等で特異的な発現遺伝子のコアコレクションにおける多型を評価し、その特異性を明らかにする。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2013 2012 2011

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Genome sequencing reveals agronomically important loci in rice using MutMap2013

    • 著者名/発表者名
      Abe Akira, Kosugi Shunichi, Yoshida Kentaro, Natsume Satoshi, Takagi Hiroki, Kanzaki Hiroyuki, Matsumura Hideo, (他 7 名 , 7 番 目)
    • 雑誌名

      Nature Biotechnology

      巻: 30 ページ: 174-178

    • DOI

      DOI:10.1038/nbt.2095

    • 査読あり
  • [雑誌論文] SuperSAGE : Powerful Serial Analysis of Gene Expression2012

    • 著者名/発表者名
      Hideo Matsumura, Naoya Urasaki, Kentaro Yoshida, Detlev H.Kruger, Gunter Kahl, Ryohei Terauchi
    • 雑誌名

      Method in Molecular Biology

      巻: (印刷中) ページ: 883

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Cell division and cell elongation in the coleoptile of rice alcohol dehydro genase 1-deficient mutant are reduced under complete submergence2011

    • 著者名/発表者名
      Takahashi H, Saika H, Matsumura H, Nagamura Y, Tsutsumi N, Nishizawa NK, Nakazono M
    • 雑誌名

      Annals of Botany

      巻: 108 ページ: 253-261

    • DOI

      10.1093/aob/mcr137

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A multifaceted genomics approach allows the isolation of the rice Pia-blast resistance gene consisting of two adjacent NBS-LRR protein genes2011

    • 著者名/発表者名
      Okuyama Y, Kanzaki H, Abe A, Yoshida K, Tamiru M, Saitoh H, Fujibe T, Matsumura H, Shenton M, Galam DC, Undan J, Ito A, Sone T, Terauchi R
    • 雑誌名

      Plant Journal

      巻: 66 ページ: 467-479

    • DOI

      10.1111/j.1365-313X.2011.04502.x

    • 査読あり
  • [図書] DeepSuperSAGE : High-Throughput Transcriptome Sequencing with Now- and Next-Generation Sequencing Technologies (Tag-based Nex Generation Sequencing)2011

    • 著者名/発表者名
      Hideo Matsumura, Carlos Monina, Detlev H. Kruger, Ryohei Terauchi, Gunter Kahl
    • 総ページ数
      1-21
    • 出版者
      Wiley-VCH

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公開日: 2013-06-26  

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