研究課題/領域番号 |
22380010
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岩田 洋佳 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (00355489)
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研究分担者 |
江花 薫子 独立行政法人農学生命資源研究所, QTLゲノム育種センター, 主任研究員 (00370643)
林 武司 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中央農業総合研究センター・データマイイング研究チーム, チーム長 (70370674)
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キーワード | ゲノミックセレクション / 作物育種 / 選抜方法 / 量的形質遺伝子座(QTL) / イネ / 一塩基多型(SNP) / 機械学習 / 育種シミュレーション |
研究概要 |
ゲノムワイドマーカーをもとに未知の系統の遺伝的能力を予測して選抜を行うゲノミックセレクション(GS)を応用した高効率な作物育種システムの構築を目指して以下の研究を行った。 1.イネ品種コレクションのゲノムデータの拡充と実データに基づくGS精度評価 イネ品種コアコレクションのゲノムワイドSNPデータを、日本型品種96系統、世界品種96系統の192系統について768SNPのタイピングを行った。現在、データを整理して、解析に利用できるよう準備を進めている。また、日本型品種112品種で得られているゲノムデータと形質データをもとに、クロスバリデーションによるGSの精度評価を行った。その結果、(1)アソシエーション解析で有意であったマーカーだけでなく、全てのマーカーを予測に利用するほうが選抜精度が高い、(2)カーネルを用いた非線形の機械学習による予測精度は、線形の正則化最小二乗法とほぼ同等の精度、(3)112系統をもとにした予測モデルでは、従来の表現型選抜に比べて、選抜精度が劣る、ことが示された。このうち、(3)の知見は今後のGSの実用を考える上で重要であり、シミュレーション等により、予測モデル構築に必要な系統数を明らかにする必要があると考えられた。 2.育種シミュレーション 実際のSNPデータの遺伝子型と連鎖地図上での位置をもとに、GSの精度を予測するシミュレーションプログラムを作成した。同プログラムを用いて、交配後代(雑種第2代~6代)におけるGSの選抜精度を明らかにした。その結果、400系統程度を予測モデル構築に用いれば、表現型選抜と同等か(遺伝率0.75の場合)、表現型選抜よりも高精度(遺伝率0.25の場合)の選抜が可能であることが分かった。また、雑種第2代における選抜が特に有効であることが示された。ただし、遺伝子間交互作用(エピスタンス)がある場合には選抜精度が低下した。
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