研究課題/領域番号 |
22380013
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
山内 章 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (30230303)
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研究分担者 |
犬飼 義明 名古屋大学, 生命農学研究科, 助教 (20377790)
小川 敦史 秋田県立大学, 生物資源学部, 准教授 (30315600)
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キーワード | 土壌水分 / 変動ストレス / コアコレクション / 可塑性 / 根 / QTL / 染色体部分置換系統群 / 天水田 |
研究概要 |
1.根の可塑性の乾物生産、成長、収量に対する役割の検証 1-1.乾燥ストレス条件で発揮される可塑性 OryzaSNP Panel、農業生物資源ジーンバンク(NIAS)世界のイネコアコレクション、陸稲NERICA品種を用いて、Line source sprinkler法ならびに傾斜フィールド法によって、発育諸パラメータ、葉身水ポテンシャル、気孔伝導度、光合成速度、乾物重、収量の測定により、成長反応と、根系発育を評価した。これらの結果から、乾燥ストレス条件下で地上部成長、収量を維持、または促進する反応を示す品種/系統を選抜し、そしてそれらの根系が発揮する発育的可塑性によって、浅層での側根発育を促進する品種/系統と、深層への資源配分を促進することによって地上部の成長を維持するものがあることが判明した。 1-3.乾燥ストレス×窒素施用量相互作用が可塑性発揮に及ぼす影響 上述のLine source sprinkler実験圃場において、乾燥ストレスに対して根系が発揮する可塑性が大きい系統50番と日本晴、NERICA1と4を生育させ、地上部ならびに根系の発育反応を精査し、乾燥ストレスに対して根が発揮する可塑性に及ぼす窒素施肥量の影響を定量的に評価したところ、有意な乾燥ストレス×窒素施用量相互作用が認められ、肥培管理によって可塑性の発揮程度を制御しうる可能性が示された。 2.水通導性のメカニズム解析 上述の材料を供試し、アポプラストとシンプラストの両面から、根の水通導性を制御するメカニズムを解析し、異形側根に注目したhydraulic architectureを提案した。 3.根系機能に関わる比較作物学的解析 イネに関して得られてきた結果を、サツマイモ、ダイズ、ササゲ、コムギと比較し、それぞれの種における特異性を調べ整理した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
根の可塑性の乾物生産、成長、収量に対する役割の検証、水通導性のメカニズム解析、乾燥ストレス条件下での根系機能に関わる比較作物学的解析、それぞれについて、目標としている結果が出つつある。
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今後の研究の推進方策 |
根の可塑性の乾物生産、成長、収量に対する役割の検証については、圃場実験に加え、ポットや根箱を使った容器実験を併用して、水吸収能や、プレッシャーチャンバー法による水通導性などの生理機能を精密に測定する。また、水通導性のメカニズム解析に関しては、hydraulic architectureをさらに精密にするために、とくに、維管束の連結部や,導管内のキャビテーションに焦点を当てて解析を進める。
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