研究課題
基盤研究(B)
本研究は、表現型の可塑性として知られている、環境の変化に応答してその発育を変化させる能力の、乾燥や土壌水分変動ストレスに対する作物の適応おける機能的役割を明らかにすることを目的とした。日本晴/カサラス由来の染色体断片置換系統群、IR64 の準同質遺伝子系統群、農業生物資源ジーンバンク(NIAS)世界のイネコアコレクション6、OryzaSNP Panel、DRS(drought resistant lines、フィリピンイネ研究所育成系統)、NERICA数品種を供試し、一連の実験を行った。形質・機能評価には、根箱法、傾斜円筒法、 line source sprinkler 法、傾斜圃場法を用いた。これらの実験結果は、一貫して、深根性に加えて、可塑性が水ストレスに対する適応に重要な機能的役割を果たしていることを示した。乾燥ストレスに対しては、根系全体が示す発育的可塑性が、また乾燥と嫌気の繰り返しストレスに対しては、側根発育ならびに通気組織形成に関わる可塑性が重要であることを見出した。さらに、それらの可塑性が、水ストレス条件での水吸収の促進を介して乾物生産に貢献することを定量的に示した。
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