研究課題/領域番号 |
22380014
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
白岩 立彦 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (30154363)
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研究分担者 |
桂 圭佑 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (20432338)
島田 信二 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, その他部局等, その他 (30355309)
田中 朋之(勝部朋之) 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (50224473)
本間 香貴 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 講師 (60397560)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | ダイズ / 生育モデル / 転換畑 / 土壌水分 / 収量 / 窒素固定 |
研究概要 |
ダイズの最大の生産変動要因は水環境変動である。本研究は,ダイズの生育・収量を気象から予測する既存モデルに、水田転換畑圃場における水収支動態ならびに過湿ストレスに対する生育反応を考慮するモジュールを新たに組み込み、日本の栽培環境に即した生育予測モデルを開発するものである.平成24年度は下記のような研究を実施した. 1.生育初期の過剰水分が生育諸過程に及ぼす影響の解析:滋賀県農業技術振興センター研究水田に前年度設置した地下水制御システム(南北40m×東西80mの圃場を南北方向に5分割し、それぞれの区画の地下水位を独立に制御)をもちいて圃場実験を実施した。品種エンレイと根粒非着生品種Lee(-)を6月に播種し、出芽10~15日後から約2週間地下水位を深さ10~20㎝まで上昇させ、それ以外の期間の地下水位は最適とされる深さ50~60㎝に維持する過湿区と過湿処理を行わない対象区を,それぞれに基肥窒素10g/m2(被服尿素を使用)を施用するNN区と施用しないNO区を組み合わせた処理区を2反復分割区法で設定し,生育過程を調査した.生育初期の一時的な過湿がR5までの乾物生産と窒素蓄積を顕著に低下させること,窒素蓄積の低下は窒素吸収と窒素固定の両方の活性低下に起因することが再確認された.しかし,過湿ストレス後の成長の回復は前年までの結果よりも良好だった. 2.モデルの構築:これまでに得たデータから,葉面積展開量を湿害開始および終了からの経過日数の関数(湿害応答関数)として表し,それをSincliarモデルの出葉速度係数に適用することにより過湿ストレスがダイズの生長に及ぼすの影響を表す初歩的なモデル化を作成した.次年度に湿害応答関数の改良とモデルの検証を行う予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Sinclairモデルに別研究課題で構築した品種エンレイの発育モデルを組み込むことによって,滋賀県での好適条件における品種エンレイの生育の再現が可能なった.また,生育初期の過湿がダイズの生育・収量に及ぼす影響について、4つの作期の実験結果からなるデータセットが構築された。ダイズの葉面積展開の過湿ストレス応答について,初歩的な関数を構築することができた.しかし,課題の一つになっていた,水収支モジュールの開発は,原型は作成したが,未完了の状態となった.
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今後の研究の推進方策 |
湿害ストレス応答関数は,現段階では葉面積展開のみに適用されているが,モデルの検証をこれまで得てきたデータセットを用いて行うことで,その改良を図る必要がある. 積み残しになっている,水収支モジュールの開発を行う必要がある.これらを合わせることで,所期の目的とした,日本の栽培環境に即したダイズ生育予測モデルを開発する.
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