1.イネ根圏土壌におけるモミラクトンの濃度測定方法の確立 イネ根圏土壌におけるモミラクトンAとモミラクトンBの濃度測定を昨年度に続き行った.その結果,イネは,モミラクトンAを最大1日あたり約4μg,モミラクトンBを約6μgを水田土壌に連続的に放出していることが明らかになった.この方出量は,イネの雑草ヒエの成長を抑制するのに十分な量である. 2.モミラクトンの雑草抑制(アレロパシー)の作用機構に関する研究 (1)シロイヌナズナSALKライン(約1万の変異株)に,モミラクトンを与え,感受株,非感受株を選抜に関する研究を行った.その結果,モミラクトン高感受性のイヌナズナと低感受性のシロイヌナズナがあることがわかった.これらは,モミラクトンの作用機構を明らかにするために重要であると考えられる.(2)モミラクトンにより誘導されるタンパク質を明らかにする.本年度は,モミラクトン投与後60分後にシロイヌナズナのタンパク質を二次元電気泳動法で分析し,トフマスにより同定した.その結果,減少したタンパク質は,subtilisin-like protease,amyrin synthase LUP2,beta-glucosidase,malate synthaseであった.蓄積したタンパク質は,cruciferin 2,translationally-controlled tumor protein-like protein,glutathione S-transferase GST6,1-cys peroxiredoxin 1であった.以上の結果から,モミラクトンBはシロイヌナズナの芽生えのタンパク質発現に影響を与えることが明らかとなり,モミラクトンB投与により蓄積及び減少したタンパク質は,モミラクトンBの成長抑制に関与している可能性がある.
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