研究課題/領域番号 |
22380017
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研究機関 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
廣瀬 竜郎 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中央農業総合研究センター・稲収量性研究北陸サブチーム, 主任研究員 (90355579)
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研究分担者 |
青木 直大 東京大学, 農学生命科学研究科, 助教 (70466811)
大杉 立 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (40343107)
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キーワード | イネ / 遺伝子 / デンプン / 転流 / 突然変異体 |
研究概要 |
本研究は、世界的な主要作物であるイネを研究対象とし、ソース葉からシンク器官への光合成産物の転流の制御要因を遺伝子レベルで明らかにすることを目的としている。光合成産物の転流が抑制されるとソース葉にデンプンが過剰蓄積すると予想されることから、代表者がこれまでに見いだしたイネの葉中デンプン過剰蓄積突然変異体を材料とし、その原因遺伝子の特定と生理特性の解析を通じて転流の制御要因を明らかにすることを計画している。平成22年度は、1)5系統の葉中デンプン過剰蓄積突然変異系統それぞれについて原因遺伝子のマッピング作業を進め、2)各系統の遺伝子発現解析し、3)生理機能解析の第一歩としての成長および収量特性の調査・解析をおこなった。その結果、1)5系統のうち1系統は、その原因遺伝子が第6染色体に座乗することがわかり、この変異系統をLSE1と名付けた。2)LES1を中心に遺伝子発現解析を行い、主としてデンプン合成系および分解系の遺伝子を対象に、正常系統との比較解析を進めた。3)圃場での栽培試験の結果、LSE1系統はその生育期間全般にわたって葉身中に多量のデンプンが蓄積され、蓄積されたデンプンの量は夜間にもほとんど低下せず、終日高いレベルを保つことがわかった。一方、LSE1の葉中のショ糖レベルは原品種との間に差がなかった。また、LSE1系統は原品種に比べて穂数、一穂籾数、登熟歩合および千粒重が有意に低下し、結果的に減収となることが見いだされた。これらの結果から、LSE1変異体では何らかの原因によって葉中にデンプンが蓄積され、そのために光合成産物のシンク器官への転流が十分に行われないために、収量が低下していることが推察された。
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