研究課題/領域番号 |
22380018
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
菅野 明 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 准教授 (10260449)
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研究分担者 |
三位 正洋 千葉大学, 大学院・園芸学研究科, 教授 (30093074)
半田 高 明治大学, 農学部, 教授 (00192708)
遊川 知久 独立行政法人国立科学博物館, 筑波実験植物園, 研究主幹 (50280524)
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キーワード | シグモルキス / MADS-box遺伝子 / 遺伝子単離 / 遺伝子発現 / 形質転換 / 突然変異体 / アグロバクテリウム法 / PLB培養 |
研究概要 |
シグモルキスを無菌播種により大量増殖した。この花芽から作成したcDNAプールを鋳型とし、PCR法によりCクラス遺伝子(AGAMOUS-like遺伝子)の増幅産物を得ることに成功した。またシグモルキスに近縁な種を収集した。 シグモルキスの効率的in vitro増殖系確立のため、PLB(protocorm like body:プロトコーム様体)培養におけるナフタレン酢酸(NAA)と6-ベンジルアデニン(BA)の影響を調査した。その結果、NAA0.1mg/L、BA1.5mg/Lの添加が最も増殖を促進することが判った。BA2.0区においてPLBの増加率は劣ったが、他の区に比べて植物体への分化の起点となる幼原基を多く形成した。また、P.pusillaと近縁属ラン間での雑種判別マーカーを開発し、実際にPCR-RFLP法での判別を試みた結果、近縁属7属7種との間での判別が可能となった。 アグロバクテリウム法を用いた形質転換系の開発については無機塩除去培地を用い、プラスミドの種類および接種時間の検討を行った。その結果、従来の15分間接種に比べて3時間で接種を行ったPLBにおいて、供試した二つのプラスミド、すなわちpIG121-HmおよびpEKH2-nosNPTII-UbiGUS-35SHmとも、強い一過的なGUS発現が見られた。これに対して通常の無機塩培地を用いた場合は、3時間の接種でもわずかに一過的なGUS発現が見られるだけであった。現在、植物生長調節物質の除いた培地に移した一部のハイグロマイシン耐性PLBから、葉の形成した小植物体が確認できた。また、ハイグロマイシン耐性のPLBからDNAを抽出し、PCRを行った結果、hpt遺伝子の増幅が確認できた。以上の結果から、アグロバクテリウム法を用いてシグモルキスの形質転換体を作出することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
遺伝子単離については、RACE法を用いたMADS-box遺伝子増幅がうまくいかず、各々の遺伝子特異的なプライマーを作成しながら単離を試みているため、当初の計画よりも遺伝子単離に時間がかかっている。またアグロバクテリウム法を用いた形質転換実験についても、形質転換体は得られているものの、現段階では効率が低く、方法をより改善する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
アグロバクテリウム法を用いてシグモルキスの形質転換体を作出することができたが、形質転換効率は依然として低い。従って、今後は高頻度の形質転換体作出を目的に、異なるプロモーターや選抜マーカーを持つ他のプラスミドを用いて形質転換を試みる必要がある。 遺伝子単離については、他のラン科植物から単離されたMADS-box遺伝子の塩基配列をもとにしてプライマーを作成し、各遺伝子ごとにcDNA断片を単離することを試みる。
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