研究課題/領域番号 |
22380021
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
横張 真 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (60302379)
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研究分担者 |
青柳 みどり 独立行政法人国立環境研究所, 社会環境システム研究センター, 室長 (70175751)
渡辺 貴史 長崎大学, 大学院・水産・環境科学総合研究科, 准教授 (50435468)
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キーワード | 農的活動 / アダプディブマネジメント / 生産能力 / 労働主体 / 土地 |
研究概要 |
本年度は、以下の2点の課題を重点的に行った。 1.農的活動に関する国内および海外の先進事例調査 平成22年度の調査をさらに深めるとともに、農的活動の社会的役割を検討するため、国および海外の先進事例調査を行った。国内調査では、近年、都市内に新たに整備された菜園を対象に、利用や運用の実態について菜園関係者に対するヒアリング調査を実施した。その結果、住宅地内の空閑地のみならず、小学校跡地(十思ガーデン:東京都中央区、美竹区民菜園:東京都渋谷区)や企業ビルの屋上(三井住友海上駿河台ビル:東京都千代田区)に菜園が整備され、近隣住民の余暇活動の場や小学生のための農業体験施設として活用されている実態が把握された。一方、海外調査では、バンクーバー市(カナダ)において、都市農業関係者に対するヒアリングを実施した。その結果、バンクーバー市では、農家による経済活動や都市住民の余暇活動に留まらず、先住民や移民の貧困問題といったカナダ社会の成り立ちに起因する様々な社会問題の解決方策として農的活動が導入されている実態が把握された。 2.農的活動に関わる主体に対する社会調査 都市住民による農作物生産ポテンシャルの発現に資する政策の検討に向けて、農的活動に関わる主体に対する社会調査を行った。具体的には、これまで調査を重ねてきた首都圏近郊の自治体(千葉県柏市・流山市)および地方中核都市の自治体(長崎県長崎市)において、農的活動に関わる主体(菜園利用者や地権者、自治体職員)に対するヒアリング調査を実施した。調査を通じて、都市住民が行う農的活動の特性(活動に関わる経緯・動機・頻度・主体・年数等)や菜園利用をめぐる地権者・利用者間の利害調整の実態、地方自治体による農的活動の支援政策の運用実態を把握した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、都市住民による農作物生産ポテンシャルについて、(1)生産能力、(2)土地、(3)労働主体、の3側面から解明することを目的としている。(1)~(3)の個々の研究課題については、当初の計画通り、平成22年度・平成23年度の調査を通じてデータの取得および解析が完了している。また、(1)~(3)で得られた成果を統合し、平成24年度に実施する社会実験についても、これまでの調査を通じて、共同研究者間で意見の調整や自治体・地域住民の協力体制の構築等、社会実験の実施に向けた準備が進められている。以上より、研究がおおむね順調に進展していると判断
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である平成24年度は、都市住民の農的活動により生産される農作物の安定的な供給を実現する社会システムの検討を行う。本年度の研究課題を達成にむけては、これまで個々に検討してきた研究課題の成果を統括していくことが求められる。したがって、本年度は、共同研究者全員で課題に取り組んでいくとともに、意見・情報交換や議論の機会を増やし、相互の連携を強化する。
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