研究課題
A-5) 前年度に用意したインド型品種ハバタキとジャポニカ型品種コシヒカリの間で作成された染色体断片置換系統群(CSSLs)の戻し交雑F2集団を用いてマッピングし、候補遺伝子領域を狭めた。しかし、当該領域内での組換え個体が予想外に少なく、次のステップに進めるだけの領域の狭小化はできなかった。農水省から、インディカのIR64背景でコシヒカリの断片をもつCSSLsとコシヒカリ背景にIR64の断片をもつCSSLsを入手し、感染性を調査した結果、当該染色体領域はジャポニカイネのBMV抵抗性の必要かつ十分な領域であることが判明した。プロトプラスト実験から一細胞レベルでもBMV抵抗性が発現していることが示唆された。B-6) 前年度までの研究で、イネに全身感染するBMV-F系統と感染しないBMV-KU2系統の違いに重要なのは、BMVの複製酵素タンパク質2aのC末端領域における数個のアミノ酸残基の違いであった。本領域をC端から25アミノ酸ずつ欠失した変異体RNA2を6種類作製し、種々の植物のプロトプラストでウイルス蓄積と植物葉での細胞間移行を調査した。その結果、この領域にはウイルスの複製よりも、ウイルスゲノムの分解を抑制する機能が含まれていることが示唆された。一方、アフィニティー精製のための予備実験として、この領域にエピトープタグを付加したウイルスを作成し感染性試験を行ったが野生型よりも感染性が激減したためタグの付加のための戦略を改良中である。C-3) Agrobacteriumを用いたイネにおけるサイレンシング誘導系の構築を試みたが、技術的に困難であった。病徴が軽減するBMV系統はいずれもサイレンシング誘導能を失うか大幅に低下し、実用には向かなかった。本プロジェクトで発見したKU4系統の壊死病徴発現にはCPのN末端領域の欠失が関与していることが明らかとなった。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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