研究課題/領域番号 |
22380032
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
比留間 潔 弘前大学, 農学生命科学部, 教授 (70374816)
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研究分担者 |
冨田 秀一郎 独立行政法人農業生物資源研究所, その他部局等, 研究員 (30360457)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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キーワード | コミットメント / エクダイソン / 幼若ホルモン / 変態 / カイコ / Verson's gland / アラタ体 / 前胸腺 |
研究概要 |
昆虫の蛹変態の分子機構を、総合的に解明することを目的として研究を進めた。コミットメントは、細胞レベルでは動植物を問わずall-or-noneで起こるのが定説である。カイコの単一分泌細胞Verson’s glandを用いて、幼虫期及び蛹期特異的に発現する遺伝子をマイクロアレイにより複数見いだし、それらの発現を指標として、蛹コミットメントは終齢1-3日に起こることを見出した。コミットメントの期間に、複数の両者の遺伝子発現を同時に誘導できたことから、細胞レベルでは蛹コミットメントはall-or-noneではなく、徐々に起こることをほぼ確定した。また蛹コミットメント誘導の機構はインスリンにより幼虫型遺伝子の発現が抑制されることを示し、新たなコミットメントの機構の存在を見出した。 腹部第7-9体節のVerson’s glandは蛹脱皮時には他の体節とは異なり、脱皮直前にオートファジーによる細胞死で消失し、それは終齢脱皮後に低下するJHによることを明らかにした。体節特異的な細胞死を引き起こす因子の探索のため、マイクロアレイにより多くの遺伝子を得ており、現在JH応答性遺伝子を探索することにより候補因子を狭めている。 幼虫の腹脚のカギ爪産生細胞は蛹変態に伴い退化する。この細胞のカギ爪形成能力の低下は、終齢幼虫脱皮後2日間で急速に低下し、その後細胞は死に到る。我々は栄養の中の糖が形成能力の喪失に重要な役割を担っていることを見出した。一方、正常な終齢幼虫にインスリンを注射すると形成能力の低下が抑制されたが、インスリン伝達経路の阻害剤の処理はインスリンの作用を中和した。また絶食によりインスリン受容体の発現は10倍近く上昇した。これらの結果はすでに確立されているメカニズムと異なり、栄養の欠乏によりインスリン伝達経路が活性化され、その活性化がカギ爪産生細胞の形成能力の維持に必要であることを示している。
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現在までの達成度 (区分) |
理由
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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